空気投げ縛りの乱取り

先日テレビを見ていたら、元柔道ロンドンオリンピック銀メダリスト(現コマツ女子柔道部コーチ)の杉本未香さんが、払い腰の得意な学生選手に、払い腰を出さないで練習するようにアドバイスをされていた。
払い腰を出せないので足技や背負い投げが出せるようになり、結果その選手は後の大会で優勝していた。

何か制約を掛けるのは、新たな進化を促すのに非常に有効だ
三船十段の空気投げこそ『手も足も触れずに』という強力な制約をかけて理想を追い求めた結果、生まれた技である。

甲野先生の練習法はこの最たるものだろう。
限定した状況を設定し、自ら追い込まれた状況から必然性のある新しい動きが導き出される。
受け手はさらに状況を厳しく設定するように工夫を重ねる。
すると取りは追い込まれて、新しい動きを見つけざるを得なくなる。
この稽古を続けていれば、新しい発見が次々生まれるのも当たり前に思えてくる。

さて、ここで唐突かもしれないが空気投げの話をしたい。
空気投げDVDの撮影で100回以上受けを取ってくれた最も空気投げで投げられている柔道家であり、私以上に長く武術を学んでいて、高校運動部などに招かれて運動に関する指導もされている小磯さんとも話した内容だ。
空気投げを練習すると、投げの根本のところが理解できるようになるので、小学校の高学年から中学生の練習に取り入れたら効果的だろうという話。
そこに『空気投げ縛りの乱取りを取り入れたら良いのではという提案だ。

とにかく投げにくいと思うが、空気投げで投げられるようになれば足や腰を使った投げは相当やり易く感じるはずである。
投げられないとしてもどうして投げられないか、どうやったら投げられるかを考えるのはとても良い稽古になる。

実際、私が投げの形の練習相手をつとめながら、普段練習していない肩車や腰技のやり方をあたかも前から知っていたかのように説明して実演出来たのは、空気投げの研究を通して投げ技への理解が進んだせいだと言える。

空気投げを学ぶことによる効果については非常に興味がある。
長く柔道を続けられていて、私よりも経験も実力もあり、指導もされている方々に空気投げを説明すると、一様に驚くとともに熱心に練習に取り組んでもらえる。
ここまではこれまで4回開催した空気投げ研究稽古会で確認できている。

この先、空気投げを練習することで起きることを確認していきたい。


空気投げ研究サイト作りました。
http://air-throw.blogspot.jp/

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