岩城正夫先生の講演会


古代発火法検定協会の岩城正夫先生の講演会。

以前、中島先生とフルート奏者の白川さんと伴に足半(あしなか)の作り方を教わりに岩城先生のご自宅に伺ったことがあった。
その時にパソコンの不具合を確認した記憶がある、何をどう直したかまでは覚えていない。

今回の講演会は、中島先生と白川さんが聞き役で、岩城先生から『人と技術 器用と不器用』というテーマでお話を伺おうという企画で、空気投げの研究で未知の技術を身につける経験をした私には非常に興味を深いテーマだった。
何しろ岩城先生は、技術習得への新たな挑戦を80越えてなお続けられている方だ。
今は87才だが86才からギターを始めて練習中だそうで、本当に恐れ入る限りだ。

講演会では岩城先生の半生を含め、興味深い話をいくつも伺うことが出来た。

岩城先生の言う技術は、最先端の科学技術という話ではなく、人が身につけることの出来る技術の話だ。

講演会で印象に残った話のうち、技術に関するものを順不同で紹介しよう。

技術の習熟について
技術に習熟出来ているかどうかの判定は、雑音のなかでも体が勝手に動いて作業を進められるかどうかでわかるという。

芸術と技術について
芸術は人の評価を伴うものでもあり、技術の習熟とは別の域にあると感じる。

なぜ不器用な人は大失敗をするのか?
岩城先生は『欲張りだからです。』と答えた。いきなり高いレベルを求めすぎるので失敗したときに大失敗と感じるのだという。
そういう岩城先生は、口琴という楽器を作るのにだいたい200個くらい作ると上手くいくと言われていた。言い換えれば199回失敗したながら成功に近づけているのだ。
鳴子こけしの例では、音が鳴るこけしは硬い材質の木で作ると5作目くらいで出来たのが、柔らかい材質の木で鳴るようになったのはそれから8年後だったそう(年数は私の記憶です)。岩城先生はその間、200本作っては失敗し続けていたと言いますから、不器用とは何かを考えさせられます。
ちなみに岩城先生は鳴子こけしの職人に鳴子こけしの作り方とその理由に関する仮説を確認しにいったところ、その説明を聞いた職人が『そうなんですよ!』と納得されていたそうです。試行錯誤を繰り返しているうちに作り手以上に理解が深まっていたようです。

そんなに失敗して嫌にならないのか?
岩城先生は『毎回、今度こそ上手くいくと思ってやるので嫌にならない。』と答える。
失敗し続けて『もうだめか』と思っても、しばらく過ごすうちに改善点が思い付いて『今度こそ上手くいく』と思えるようになるそうだ。
火おこしは『今度こそうまくいく』と思ってやっていたら5年経っていたそうです。
わたしの空気投げも始めてからDVDの形になるまで5年経っていました。その間は失敗続きだったわけですが、苦もなく、努力している実感も無かったですね。

アイデアに詰まったときにすること。
雑誌などを1時間でも2時間でもめくる。ふとアイデアが浮かぶことがあるそうだ。

ここで岩城正夫先生の著書を紹介しよう。
『セルフメイドの世界』
岩城先生が取り組んできた技術への挑戦の一部が図解入りで紹介されている。
単に成功したやり方を紹介するのではなく、どのように失敗したかが詳しく書かれていて、興味をひかれた。
失敗は技術を習得する過程で各自が経験するものであって、その技術を伝えるには成功したものだけを伝えたほうが上達には近道だろうと考えていたが、技術への理解を深めるためには失敗こそ参考になることもあるのだとあらためて気づかされた。

私の空気投げ研究も数々の失敗を経て今の形に至った経緯があるが、DVDには収録していない。
入れたほうが良かったかとも思うが、失敗したやり方を収録しようとしたらいくら時間があっても足りないから、いまの形で良かったのだと思う。

もう一冊。
『やってみなければわからない』
講演会で触れられていた本。さっそく購入して読み始めたら、ページ数が多くないこともあるが一気に読み終えてしまった。
あとがきに子供向けに書いたとありましたが大人にも読んで欲しい。
中でも『とっつきやすさと、難しさは異なる』という説明は技術習得を考える上で、頭をスッキリとさせてくれるものだった。
とっつきやすくても、とっつきにくくても、上のレベルを目指そうとしたときの難易度は変わらず難しいのだというのにも納得。

それにしても火おこしやら矢じりやら現代では不要なものばかりに端からみると相当な情熱を注いでこられている。自分が何をやりたいかを考えるときに、それが直接何かの役に立つか?ってのは判断材料にはならないということだろう。
『空気投げ』なんてまさにそうです。

中島先生から岩城先生も柔道経験者なので空気投げのDVDをお渡ししてはどうかという提案を受けて、岩城先生に1枚進呈した。空気投げDVDは、わたしにとってのセルフメイドの世界と言っていい作品で、第一人者の岩城先生に受け取ってもらえるのはとても嬉しいことだった。
後日、岩城先生から、技術を形にして残すことの意義について評価をいただいたコメントつきのお手紙をいただいた。あらためてDVD化して良かったと感じる。

講演会後の懇親会でわたしからも質問させていただいた。
最近始めた英語の勉強の話だ。
岩城先生ならどうやるか聞いてみたかったのだ。
まず、43才から始めることについて
『まだまだ(遅くないから)大丈夫、おやりなさい。』
勉強のやり方について
『1回の勉強時間は20~30分で止めなさい。』
『もっとやりたいなと思うところで止めなさい。』
『次やったとき、前にやったことを忘れますが気にしないでまたやりなさい。』

苦手な英語を克服するのには充分なアドバイスだ。
やりますよ私は。


ここから先は当日のメモ。

検定
熟練。ヤジ飛ばされても手がとまらない。
最近は、ギターやって熟練の段階にいったが、芸術ではない。
美しいところまで行くのが大変だとわかった。

技術 最先端の科学ではない。手足と関係する技術。器用と不器用。

器用貧乏
職業を定められない
頼まれるとやり過ぎてしまってくたびれて止めるの繰り返し。

科学学会は良かったが、国鉄鶴見事故で社長三枝さんが亡くなって仕事も終わってしまった。
石橋湛山も知り合い。
事務局でお金はわかっていた。身を引いた。

高校教師
光電菅、映画トーキー。
フラスコのなかで作った。
うまくいかなかった。
困ると雑誌を一時間でも二時間でもページをめくって頭に何か浮かぶのを待つ。
明るいところでも動く光電かんを発明した。

関連図書 友人の板倉氏による著書等を含みます。
・やってみなければわからない
・火曜日には火の用心
・いちたすいちはににならない
・嘘から出たまこと

折り紙タイプ
縄跳びタイプ

キャッチボール
壁当て100回やれば上手くなる。
対人の練習の前に壁当てをするのは何故か?

水泳 淵で潜って顔上げて息をする
竹馬 二時間 重心の取り方
自転車 坂道足つけて下る


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