ある日の柔道研究稽古(その1)

前回は昨年の3月頃だったか。 

とある柔道場で行われた甲野先生と柔道家との研究稽古に参加した時の話。 
Y柔整のK監督に久しぶりにお会いできた。T大の柔道部員の方も8名ほど参加。 
最近柔道に興味津々の私は、甲野先生が何気なく放った「来ますか?」という言葉に心を揺さぶられ、決意の末に参加させていただいた。 

さて、毎度の事ながら何が起きるかはわからない。 
一つ言えるのは、私が楽しみにしていたということだ。 
甲野先生のツイートを見てますますその気持ちが高まっていた。 

始まったのは夜の7時半くらいだったか、終わったのは深夜0時前。実に4時間があっと言う間に過ぎてしまった。 
いつまでも稽古していたかった。 
はじめは連れてこられた風に表情の固かった学生さん達も、甲野先生の技を受けると驚きを隠せない様子。 
さらに説明を受けると次々に自分でも試してみるようになった。 
固かった表情はすぐに和らぎ、時間を忘れて稽古を楽しんでいたように思う。 
部活以外でも柔道着を着て4時間深夜0時まで稽古と聞いたら、どれほどの稽古の鬼なのかというイメージを持っても不思議ではない。 
が、この日の稽古は、「鬼」と言われるとやっている本人の感覚と合わない。 
不思議な技を受けて、自分でもあーでもないこうでもないと稽古していたら4時間経っていたというものだ。 

甲野先生の最新の気づき 
・1点接触の崩し 
・掴めない腕 
や、 
・虎ひしぎ 
・凝縮・解放の原理 
・屏風座り(上下圧縮型) 
・二挺掛け 
・親指の背を使う 
・様々な手の内による効果 
・辰巳返し 
柔道家のみなさんが、自分のものにしようと技を受けては周りで試すという好循環が生まれていた。 
私もその循環に自ら飛び込んだ。 

甲野先生自身もこの好循環の場で進展があったようだ。 
中盤から柔道部員達を合気道の演舞のようにポンポン投げ始めた。 
独特の雰囲気による暗示なのかと甲野先生自身疑ったようだが、適当にやると技がかからないのでそれで(どうやら本当に技が効いているらしい)とわかったそうだ。 
・相手が襟を掴みに来たところを、吸い込むように下がりながら相手の腕を取って、自分の後ろへ投げる。 
・相手が襟を掴みに来ようとしたところを、逆に相手のほうに寄っていき、それに反応出来ずに一瞬固まってしまったところを崩す 
今まで甲野先生がことさら触れてこなかった「間(ま)」などと言われる、わかりやすい言葉で言えば「距離」と「タイミング」の世界のようだ。 

私も襟を掴みに行くが何度やっても先生に引き崩される。 
絶妙のところで少しずらすので掴み直そうと修正するのだけれど、それに対してもずらされる。これで最後まで持って行かれる感じなのだ。 
かと思えば、今度は襟を掴みに行こうとするところを逆に入ってこられる。 
こちらは固まってしまい、なすすべなく崩される。 
城間流沖縄拳法システマで稽古した感覚だ。 
周りの方と試してみるが、ぜんぜんわからない(笑) 

続く

空気投げ研究稽古
ある日の柔道稽古(その1)
ある日の柔道稽古(その2)
ある日の柔道稽古(その3)


コメント