『浪之下(なみのした)』色々


『浪之下(なみのした)』
片腕の前腕を下から突き上げる形(実際には突き上げないで持つだけ)で相手の両手で持たれた状態から、相手を下方向に崩す技。
持っている方は、下に崩されないようになるべく頑張る。

甲野先生の浪之下(11:25)
http://www.youtube.com/watch?v=GEpPPHe7AFE

甲野先生の『浪之下』を受けたのはもちろん、講座の中で様々な稽古人の『浪之下』を受けるうちに、一時期マイブームと言って良いほど良く稽古していた『浪之下』。
稽古日記を読み返してみると2008年の夏あたりからだいぶのめり込んでいたようです。

様々なバージョンの『浪之下』が生み出されました。
もう、本人も覚えていませんが。
・「鎌柄(かまつか)」進入版
 これは「手だけ動く」の高速版。重さよりも速さ重視で、とにかく気配無く短い時間になるべく距離を進むというもの。
 方条さんとの稽古で出てきた。
・甲野先生の雰囲気物真似バージョン
 2008年終わり頃の甲野先生の動きを、手の内の丸め方まで雰囲気をマネたもの。意外と効く。
 方条さんとの稽古で出てきた。
・全身ふわっと版
 「力まない」事にのみ集中して、動くもの。粘り強い人でもあっさり崩れる事もある。
 T森さんとの稽古で生まれた(はず)。
・止まってから剛力復活版
 構造上の強さと身体の連動で止められてから復活して動き出すもの。
 名古屋の山口先生の動きがヒントになった。
・ゆっくり浪之下
 手が少し下へ下がる。その後身体が同じだけ下に下がる。これをゆっくり、少しずつ繰り返す。
 数年前、システマ多摩のKさんに教わったやり方。今でも私のやる『浪之下』はこれがベースとなっている。

そして2013年、最新版の『浪之下』はこうなっている。
・先端から動く(追い越し禁止)
・寄りかからない
・垂直離陸(=浮きをかけた屏風座り=浮木の腿)
上の2つ目までを守るだけでかなり重い浪之下になる。
手強い人にはこれにもう1つ3番目の動きも意識する。

これで崩れない人は上下の安定性が抜群なので、どうしても崩そうとすれば、上下に潰す動きを行う前に相手を左右・前後に引き出す動きが必要になってくる。
が、この稽古で体を練ろうとするならここに工夫を凝らすよりも真っ直ぐ直球勝負が良いと感じる。

・どれだけ短い時間にどれだけ全身の動きをまとめられるか
これは『挨拶代わりの浪之下』でお馴染み(?)、一部で『マスター』と呼ばれるK氏から聞いたポイントだ。

ほかにも相手を崩すのを目的にした場合のテクニックはいくつかあると思うが、それを使うか使わないかは自由。
ただ、稽古する側にとっての『浪之下』は身体を練るのを目的にした方がブレずにすむと思われる。
相手を崩すテクニックは、『崩し』の稽古として独立させた方が良いだろ(個人的には今まで特別意識してやったことはないが)。

私が書いたポイントとマスターの言うポイントはそう遠くはないと思うが、シンプルに言われれば言われるほど、具体的な動きに繋げようとしたときに難しく感じるかもしれない。

『浪之下』の稽古でおすすめなのは、上にも書いたがシステマ多摩のK氏から教わった「ゆっくり浪之下」である。
これはとりあえず動きやすい上にゆっくり動くので動作の間違いに気付きやすい。

垂直離陸は、やった感が強いので出来れば止めてしまいたいが、効果が顕著なので今のところ無視できない。
ただ後は精度の問題という気がしている。
他の人が行う『浪之下』についてやり方を聞くのは興味深いが、
自分がやる分には本当に先端から、本当に寄りかからずに動けているかを確かめれば良い。
先日、水天宮の稽古会で久しぶりにやってみたところ、このやり方で動くと強力におさえられればおさえられるほどにこちらの身体のまとまりが増していくのを感じて興味深かった。

色々やるのが楽しいので、色々やったら良いですね。

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