反り腰と骨盤立位の違い


反り腰と骨盤立位の違い

腰を反ると背中から見て、腰椎の部分が凹んで見える。
実際その部分で曲げている。
骨盤立位の場合は、背中から見て胸椎から腰椎まで全体が凹んで見える。
これは胸割りにより、胸椎が前に出ているかどうかで区別出来るが、腰だけ見た場合の判別は難しい。
どちらも腰を反っているように見えるのだ。

故・肥田春充の写真を見ると、完全に腰が反っている。
そんなはずはないと思って見ても、腰の部分を見るとどうみても反っている。
では、腰椎に負荷をかけるような姿勢を取っていたのかと言えば、それこそ、そんなはずはない。
数々のエピソードから伺えるのは、甲野先生が目指すような身体全体に負荷を散らす事と、一点に力が集中されるような身体であり動きであったという事。
そのような質の動きでどこか一点に負荷が片寄るような姿勢を取るとは思えないのである。
※肥田春充の写真があるウェブページ
http://healing-network.com/hn_contents/discourse/healing_artists/chapter6/02.html

骨盤立位の場合の腰に見える傾斜は、股関節から畳んだものによるものであり、腰椎に過度な負荷がかかることはない。
反り腰はまさに腰椎で曲げている状態であり、部分的に負担がかかる。

これは武術の稽古でも気をつけなければならない。
例えば甲野先生がやる『辰巳返し』という技は身体全体の動きを腕に伝えて動くものだが、腰を反ってしまっては技にならない。
甲野先生がやっていた初期バージョンの『辰巳返し』では、技に入るときの甲野先生の股関節は折り畳まれ、背骨が全体的に凹んでいた。
これが意味するところはつまり、『辰巳返し』は腰の反りではなく、身体全体に負荷を散らしているということが、甲野先生の説明だけではなく姿勢を見てもわかるということである。

腰は反ってはならない。
個人的には腰痛持ちなので特に気を付けているところ。
腰痛持ちがやってはならないのが反り腰、推奨されるのが骨盤立位。
腰痛持ちなのになぜ武術の稽古が続けられるのかはまた今度書くかも知れません。

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