相撲技!@甲野善紀「武術が明かす世界」池袋コミュニティカレッジ


池袋コミュニティカレッジで行われた甲野先生の講座。
少し遅れて参加。
一番みたかった太刀奪りの説明は終わってしまっていたよう。
しかし最前列には力士の方も座られていて、いつもの穴場的な雰囲気とは少し違う。
それでも人数は少なめ、やはり穴場的だ。


■気まぐれな手伝い
柔道技にほとんどかかった状態から太刀奪りの体捌きで動くと技が相手に返るというもの。
千代田でも聞いたが、この喩えは絶妙で面白い。


■組み合い@相撲
力士の方と。
角成の手。相手の腕を取った自分の左腕に、角成の手にした右手を引っかけると、相手の体ごと繋がって動いてくる。


■立ち会い@相撲
手刀で、「刃筋を立てて斬る」というもの。千代田でもされていたが、立ち会いでこの手刀を相手の首筋に当てにいくと強烈な威力になるようで、力士の方も痛そうにされていた。
蹴らない移動。立ち会いの低い姿勢からの移動。甲野先生も今まで出来ないと思っていて、試していなかったもの。
「倒れるように動き出して、踏ん張らずに移動する。」
説明は立って動くときと同じだがこれを立ち会いの低い姿勢から行うというもの。力士の方は反応し辛いという感想を話されていた。


■孤独な気づき
手裏剣。上段から袈裟斬りの軌道に変わった。
この気づきの重大性を甲野先生と共有出来るのは1人だけという話。
おそらく江口氏のことだろう。もちろん私には何のことやらわからない。
左右のブレに対するおさえが違ってくるのだそう。


■興味を持つということ
何でもないようなものでも興味を持っていると気づかされることがある。
技に直接関係ないことでも色々興味を持って観察されていて、それが技のヒントになったり技の喩えとなって出てきたり。
・本
和書は縦置きで背表紙が見やすい
洋書は縦置きで背表紙が見にくい
しかし昔、和書は背表紙という概念がなく紐で閉じて横置きで保管されていた。
昔は今と違い右から左に横書きしていたが、あれは一文字ずつ改行している縦書きと思えば違和感がない。
・火おこし
回転の中心は遅い。
火きり棒:空木(ウツギ)
火きり板:杉
火きり板にはV字の切り込みを入れ、そこに木屑がたまるようにする。
火きり棒は中が空洞なので高速回転の摩擦で削りだされた高温の木屑が中心部の低温で冷まされることがない。
この方法で火をおこすと自信がつくらしい。
・キャスター、風見鶏
抵抗が少なくなる方向へ自動的に向く。


■浮き
単に「膝抜き」では身体が沈み込んでしまう。沈まないように上半身は上方向に起きるようにし、釣り合いをとる。
ジャンプするわけではない。
相手が足払いをかけてくるタイミングに合わせてこの方法でかわし続ける。
「太刀奪りの体捌き」という説明をされていたが、講座後に確認したところ、「対足払いでは太刀奪りではなく、その場で浮きをかけるだけでも良い。」との回答。
『気まぐれな手伝い』となる太刀奪りの体捌きは背負いや大外などの相手が身体を寄せてくる動きに対して有効なようだ。


■辰巳返し
140Kgの力士の方を相手にされていた。結果は成功。
逆に力士の方がやってみるが、手が上がってこない。


■おっ付けを落とす
下水道の原理でおっつけられた腕をおろす。
力士の方も驚いた様子。


■酒屋のケース運び
手の甲をケースの内側に差し込んで持ち上げる方法。
背中側の力を動員出来るので非常に楽。
ダンボールのように手を引っ掛ける場所がないもの。内側に手を差し込めないものの場合、どうするか。
ピアノを弾く準備のときのようにいったん酒屋のケースを持つ格好をしてから、腕頭関節を使って手のひらの向きを戻す。
後は普通に持つ。


■講座後その1(この日一番)
常連の方に八光流稽古の復習相手になっていただいた。
半身の動き。
ブログをみてポイントを確認しておいた。
・繋がる
・中心
少し変わってきたかも知れない。

この後、長野の講座へ先生と向かうという陽紀さんが登場。
先生に言われて力士の方と押し合い。
組んでからの押し合いとはいえ、力士の方が雪駄とはいえ、なんと互角!!
「先生より強いですね。」とは力士の方の言葉。
この日はこれが一番面白かった。
・掴むと力む
・力まないように押す

指の居着き
・陽紀さんがTwitterでつぶやかれていたもの。
”足の居着きもあるが、それ以上に指の居着きがまずい。”
斬り込み入り身の形で受けさせてもらう。
まずは指が居ついた状態から。
これでも十分強力。言われてみるまで気づかなかったが、指を固めていると手刀が固まっている感触が伝わってくる。
つづいて指を居つかせない状態。
質が違う。滞らずにすっと入ってくる。
以前『鎌柄』の工夫を『浪之下』に応用したことがあったが、入りはそれに似ているか。
驚くのは最後まで手刀が固まらない。これが指が居着いていないことの効果としてあらわれているのか。
やってみるとわかるが、固まらずに動き続けるのは難しい。


■講座後その2(マニアック)
甲野先生は長野に向かったが、常連さん達と喫茶店へ。
マニアックな話になった。
・拳の作り方
小指が腰、人差し指が肩、親指が肩胛骨と関係するという話。やってみると背中が落ちていくのがわかる。
薬指・中指は胸骨あたりか。
・サンチンの構えとそれに至る動きの関係。
拳を作り、型の動きを通ると肩・肘の可動域が変わる。
・突きの構え
脇腹ではなく、脇。やってもらえばわかるが脇腹に構えられた拳は怖くない。何というか今にも来ようとしているがわかる感じ。
対して、脇に構えられた拳は鞘に入った刀のよう。いつ抜かれるかわからない。実際に早い。
・示現流
なぜ示現流の構えからの突きが早いのか。なぜ通用するのか。
気配なく最短を通る剣。と術者の覚悟。


■講座後その3(変な人)
I女史に腰を心配される。
「左なんですが、まだちょっと。」
と答えるやいなや、
「ひだりー!!」
という激しい反応。
「どうりで左腰が痛むと思ったらこれかい。」
だそうです。
治療家としてパワーアップされていてきているのか、これから治そうとする人(まだ症状も聞いていない)の患部と同じ場所が自分の痛みとして感じられたりするそうな。
自分の調子が悪いのかどうだかわからないらしく、不便なよう。

そういえば恵比寿で合う稽古仲間のHさんも私が忘れていた膝の不調を言い当てたりして、何だか変なひとが多い(笑)

この日はバレンタインデー近しと言うことで常連さんからチョコレートもいただく。

いって良かった池袋。
みなさまありがとうございました!!

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