『浮木の腿(ふぼくのたい)』


前回の続き。
前回書いた『空気投げ』は甲野先生の講座とは関係がなく、私が勝手にやっていたものです。
ですので甲野先生に質問しても「???」となるなのでご注意下さい(笑)

緊急稽古会は、甲野先生の『浮木の腿(ふぼくのたい)』に変化が見られたためのもの。
”緊急”という名前のせいか、久しぶりに参加される方も多かったようだ。

その参加者の1人に甲野先生の技に対して、独特の反応を示す方がいた。
やっていたのは『斬込入身(きりこみいりみ)』が変化した『袈裟斬り入身(仮)』。
手刀どうしで相手がこちらの手を払ってくるのを構わず、袈裟斬りの形でこちらも払うというもの。
甲野先生はもちろん対応されていたが、甲野先生に言われて、私もこの方に受けていただくことになった。
「彼はなかなかやりにくい。ちょっとやってごらんなさい。」

私なりの『浮木の腿』でやってみると意外と悪くない。
面白くなってきたので、そのまま甲野先生を囲む輪の外で、受けてくれた方と攻守を後退したりして稽古を続けた。
(なんとなく見た目で)中国拳法か何かをされているのかと聞いてみたら、以前甲野先生の講座に通われていたという方だった。
独特の動きは対甲野先生の動きだったのだろうか。

そこからは周りで稽古をやりはじめる人達が出てきた。
恵比寿の道場の広さというか狭さもあって独特のカオスな感じがして良かった。

私はそのまま輪の外で稽古を続けた。
Sさんと太刀奪りの稽古をしていると、先程の方と、総合格闘技をされているというT井さんも合流。
Sさんとの稽古では、Sさんが気配を消して打ってくる場合と、気配を出して打ってくる場合で比較出来た。
前者は打ち気を感じた時にはもう間に合わない。しかし間に合わない中で引き出される動きがある。
後者は打つ気を感じて動けはある程度間に合う。間違っても良いからとにかく迷いなく動くことが重要だ。

私が受けになって、相手の太刀奪りを受けた感じや、甲野先生がする説明をあらためて繰り返すように説明していて、自分でもなかなか理解出来ているじゃないかと我ながら感心しつつ説明を続けていた。
・取りは相手の柄を抑えるつもりで真っ直ぐ向かっていく
・横方向に逃げずに最小限の動きで躱す

これがないとたとえ躱せても次がないのだ。
出来ると受けに振らされる感じが出てくる。
躱すのだけれど動きは相手に向かっていく動きなので、ほとんど半身を切るくらいの体捌きで剣を躱す。
相手に向かいつつ半身で躱すと、ほとんどすれ違うように躱すことになる。
躱した時には相手と並ぶくらいの位置まで入っている。
やっていて左半身が残って剣があたる場合がある、このような時は左手を下げる動きを貰って左半身を回収するように意識すると良い。

このようにアドバイスをしながら続けていると目の前でみるみる上達していくのがわかる。
ちょっと離れていて戻ってきたSさんが驚くほどの変化をしていたのだから明らかに変わったということだろう。
つまり何が言いたいかと言うと、教えるの上手なんじゃないの自分。ということ(笑)
ちなみにT井さんはこの後で『辰己返し』も出来るようになったので、やっぱりそうに違いない。と繰り返してみる。
ただ、私のアドバイスは技の本質(と私が思っている部分)を大事にしつつ、条件設定は厳しすぎずという方針なので、私以外の人に自由に受けて貰った場合に同じように出来るかはまた別の課題だ。
良かったときの感触(のなさ)は味わっているはずなので、色々と試して貰いたい。

肝心の甲野先生の話を書いていない。
甲野先生の『浮木の腿』については、別の日記に書くとしよう。
そもそも『浮木の腿(ふぼくのたい)』って何?って思っている人もいると思うし。

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