甲野善紀新刊『出来ない理由は、その頑張りと努力にあった』

平尾文さんが聞き手と編集者をつとめた一冊。
甲野善紀先生に編集者の平尾文さんがインタビューする形式で書かれています。

甲野先生自身による動きの説明は、内部感覚を表現するためにどうしても難解な解説になってしまう。
聞き手の平尾さんは、武術稽古の経験がない立場をうまく活用されていて、甲野先生からわかりやすい説明を引き出してくれています。

技の解説でも平尾さんの合いの手がうまく効いています。
単なる個々の動きの説明だけではなく、新たな発見を呼び起こしたきっかけとなる話や、その前の気づきからの関連にも内容が及んでいるので、甲野先生が稽古を進めるなかで次々と新しい動きを発見していく様子が会話の中からうかがえます。
本人の説明だけでは省略されてしまうような内容も、平尾さんが聞き手となることで省略されずに会話の流れの中で触れられているので、最近の技を理解する上でもわかりやすい内容になっています。

技の解説にも多くのページが割かれていますが、タイトルの通り、稽古の考え方や上達の仕組みの話もしっかり書かれています。
セミナーに出てもここまでの内容をわかりやすく説明してくれることはないので、貴重な一冊だと言えます。

ただ、読みやすいとはいっても技の解説を読んだだけで理解するのは難しいと思います。
動きのイメージを補足するための動画が公開されているので、それも合わせて参考にされると理解の助けになると思います。
しかし、それでも技を理解することは難しいでしょう。
そうなるとセミナーで技を受けてみるしかありません。
しかし実を言うと受けてもわからないことのほうが多いです(笑)
ではどう取り組めば良いのでしょうか?
武術稽古以外のスポーツや日常生活にも当てはまる悩みかもしれませんが、そのヒントも平尾さんが聞き出してくれています。



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