世界的スタントマンの浅谷康さんが帰国されたタイミングで、下原道場で交流稽古をご一緒しました。
動画は浅谷康さんにリクエストしたウインドミル
今回の稽古で特に面白かったのは、これまで別々に取り組んできた身体操作が、少しずつ一つの動きとしてつながってきたことです。
「力を使わないで動く」ための土台
まずは、私が普段稽古している「基礎の基礎」から。
相手との距離をほとんどなくした状態で、「謙譲の美徳」を使って相手を動かすところから始めました。
相手を力で押したり引いたりするのではなく、自分の身体の構造を保ったまま、相手との位置関係を変えていく。
ここでは、単純に「力を抜く」ことが目的ではありません。
自分の身体を崩さず、相手の力とぶつからず、相手が動かざるを得ない位置関係を作る。
甲野善紀先生の『菱颪(ひしおろし)』から始まった「足の張り」
今回、浅谷さんとの稽古で改めて面白いと感じたのが、「足の張り」です。
これは以前、甲野善紀先生の「菱颪(ひしおろし)」を受けて、教わったことから発展してきた感覚です。
足元から張りを作ると、単に脚だけが強くなるわけではありません。その働きが身体の上へ伝わり、背骨から首まで含めて身体全体が一つにつながるような感覚が出てきます。
浅谷さんにもこの感覚を体験していただくと、地球体操などで稽古してきた身体の使い方とも共通する部分が見えてきました。
足元で作った状態が体幹を通って上へ伝わり、最終的に腕や手まで動いていく。
この「体幹部から末端を動かす」という感覚は、最近の私の柔道研究でも大きなテーマになっています。
倒立の動きにも共通するもの
浅谷さんからは、倒立の動きについても興味深い説明がありました。
倒立では、単純に「足を上げて頭を下げる」と考えるのではなく、足を後ろへ伸ばしていくことで、結果として頭が下がっていく。
この説明を聞いて、地球体操でも説明していただいた「重心を移動させることで身体がついてくる」という感覚とつながるものを感じました。
身体を直接動かそうとするのではなく、身体の一部の状態を変えることで重心の移動が発生し、その結果として身体が動いていく。
「全部入り」の空気投げ
最近やった稽古メニューのご紹介と、そこにある要素を詰め込んだ、「全部入り」の空気投げを浅谷さんにも受けていただきました。
この空気投げには、次の稽古メニューで確認する要素を詰め込んでいます。
・丈夫な構造をつくること
・相手の構造を弱くすること
・相手に気づかれないように準備すること
・相手の末端を操作すること
・体捌きで自分の末端を操作すること
今回、浅谷さんと道場のS先生に受けてもらい、感触を確認できました。
投げる側としては、大きな力を出している感覚はありませんが、受けた浅谷さんからは、
「これはダメだ、止まらない」
という声が出ました。
止めるきっかけがないのか、あるいは動き始めたら崩されるので自由を奪われてしまうのか、強引ではない手応えが、この一言に表れていたように思います。
かわって受けたS先生の感想は、「思ったより飛ぶ」。
2人の意外な反応から、技の威力が増していることを確認できました。
自分の感覚だけでは分からないことを、実際に受けてもらうことで確認できるのは、こうした交流稽古の面白いところです。
身体操作の共通点が見えてきた
今回の稽古では、柔道、スタントの身体操作、地球体操という、一見すると異なるものを一緒に稽古しました。
身体の一部を偏ったり、自分で力をこめるのではなく、重心の移動や相手との関係や反応を使って、身体全体が動くこと。動き方の根本のところを確認しながら、技の稽古とのつながりを確認できたように感じました。
浅谷さん、今回もありがとうございました!
浅谷康さんが映画「フォールガイ」の記事で紹介されていました。


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