甲野善紀音楽家講座

先日恵比寿に参加された主宰者S川さんからの紹介で甲野先生の音楽家向け講座に参加した話。

この講座は前半は技の実演・説明で、後半からは楽器を持参した参加者の演奏に関する悩みを甲野先生が聞いて、その場でアドバイスをするという形式。
この日は人数が多く、バイオリン、フルート、ギター、ピアノ、トランペット、あと1つ重そうな管楽器(名前忘れた)の方が代わる代わる演奏して、先生がアドバイスしてと盛りだくさんの内容だった。

最近、私の目も肥えてきたのか演奏時の様子を見て、
演奏に参加していない身体の場所がなんとなくわかるようになってきた。
立って演奏する方の膝のロック。膝を固めたことによる腰への負担。
座って演奏する方の腰から下が固まっていて動いていないところ。
もちろん、中にはプロ並みの演奏が出来た上でその上を目指したいという悩みの方もいて、
演奏を聴く限り私にはどこに問題が有るのかわからないことがほとんど。
しかし、甲野先生のアドバイスを実行して再度演奏したときの音色の変化は、ときに素人でもはっきりわかるほど良くなるのだ。

甲野先生のアドバイスは、
・足指は床にぺったりではなく、手の指と同じように動かす感じ。
・座りでお尻をどっかりではなく、いつ椅子を引かれても大丈夫な感じ。
・重い楽器を持つとき膝を伸ばして固定するのではなく、遊びを持たせて重さを身体に散らす感じ。
などなど。その場で相手の動きを見てアドバイスを行うのだ。

前回参加したときにも少し触れた話であるが、
音楽家講座も回数を重ねてきて、甲野先生の説明を自分の身体で理解されている方が増えてきているよう。
この日もバイオリンのお嬢ちゃんへのアドバイスを甲野先生に指名されたビオラの方が行っていたけど、お嬢ちゃんの音色がグッと良くなるという場面があった。
目の当たりにしているこちらが嬉しくなってしまうような、素晴らしい光景に出会える場なのである。

講座後は居酒屋で打ち上げ稽古。
お手伝いにきていたU田さんとビールを飲みながら正面の斬り。
座った状態ではいつものウッチーさんの動ける感じが無くなっていた。
動ける感じになると技の途中から立ち上がるという現象が起きていたが、
技はいつもの感じになっていたので良さそうな感じです。

帰り際には甲野先生にも技をリクエスト。
日記では触れなかったけどこの日も例のスポンジで説明されていた甲野先生だったのですが、
「あなたに言われたから。」(※)と言われてスポンジなしの『正面の斬り』を受けると、
U田さんとの稽古で絶好調だったにもかかわらず後ろに吹っ飛ばされてしまった。
今回のバージョンは、”触れる腕を後ろに引っ張るようにしながら全体としては前に出てくる。”というもの。
どこかで感じたことがあると思ったら、中島先生の稽古でやった『どこでも離陸』の感触だ。
こちらに向かってくる気配の無い腕が気づかぬ間にこちらに侵入してくるのです(それが強力)。

※ちょっと前の日記にも書きましたが、甲野先生が私に言った”あなたに言われた事”とは、
千代田稽古会の帰り際にした会話、
「この後の展開としてスポンジにかわる道具を探してまわるというのを心配しています(笑)」
のこと。

”確かにちょっとまずいかな。”と思って工夫してくださったらしい(笑)

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