第1回「技で振り返る松聲館の歴史」

『技で振り返る松聲館の歴史』
企画者の方条さん@甲章研究室の依頼でアシスタントとしてデジカメでの撮影係をつとめながら参加。

この企画が面白くないはずがないとは思っていたが、
期待以上に楽しい時間を過ごすことが出来た。

■井桁以前の話
この日は野田古武術の会からのはしごだったので、会場までの移動中、中島先生に話を聞くことが出来た。
「あの当時は出来なかった。」という中島先生。
そうか、今でこそ色々と教えてくれる中島先生も元々は我々と同じように武術稽古に出会った時期があって、
出来ない時期があって今に至るのだなぁと考えてみれば当たり前のことにあらためて気づき、妙に感慨深かった。

著書「縁の森」にかかれている頃のエピソードなどを伺うと、
人に歴史ありというけれど、甲野先生は本当にドラマチックに過ごされている。
松セイ館を設立した当時は、誰も稽古に来る人などいなかったこと(それもそのはず。自宅の敷地に知り合いの大工さんと一緒に突然建てたのだ!)。
研究の検証の為、極端に腰を反って使ってしまい身体を壊したことがあること。
縁のあった武術家の方々の凄まじいエピソード(書いていいのか悪いのか区別がつかないので自粛)。
などなど、話だけでも時間が持ちそうだ。

■鹿島神流(楔、螺旋)
初期の頃は甲野先生が習っていた鹿島神流の稽古をやっていたとのこと。
斬り潰す。なじむ。
アシスタントをやっていたのであまり技を受けていないのだが、セミナー終了時に中島先生から技を受ける機会を貰った。
『楔』を打ち込み、『螺旋』に巻き込む。
中島先生の楔も螺旋も、受けた感触に、今の甲野先生の技に通じるところがある。
付け足すとすれば前後方向のダイナミックな動きか。
稽古法からして、受け継ぐのは厳しいと思われた甲野先生の技法だが、こうして受けてみるとルーツがあり、しっかりと繋がっている。
最新の技にばかり目が行きがちだがこういうところを理解してから受けるとまた違った感触が得られそうだ。

■2力の合成
『混ぜるな危険』とも言われたりしたという技法。
袈裟斬りで斜め方向に斬る場合、振りおろす下方向の動きと身体が向き変わる左右方向の動きをそれぞれ別々に働かせながら相手に触れる場所で合成されるようにするというもの。

■3要素同時
螺旋のこと。
上下、左右、前後の動きをそれぞれバラバラに働かせながら相手に触れる。
井桁後の『3元同立』との違いは不明(聞けば良かった)。

■黄泉返り?
死んだ魚が生き返るよう。
掴まれた腕を脱力し、相手にまかせる。
まかせきって死んだように反応しない腕が出来上がったら、突然生き返る。
その生き返ったときの相手の反応に乗ると腕が上がってくる。

■水鳥の足
珍しい光景の中島先生の剣術。
『前後斬り』の足捌き。
剣の動きに導かれるように足裏全体が一斉に反転し、身体の前後がいれかわる。
当時甲野先生が「母指球で回っている。」と答えたのを聞いて、中島先生は言葉はそのまま受け取ってはいけないと思ったのだそうだ。どうみても母指球ではなく足裏全体が回転していたのだそうな。


こんな感じで稽古していたのですね。
テーマになった稽古はそれぞれ年代が違うから今回のようにいっぺんに稽古していた訳じゃないとすると、
1つのテーマをじっくりと検証していく形だったのでしょうか。
今回は目安とされていた『井桁』直前までは進まなかったけど、
まだまだ中島先生が忘れているだけのおもしろいネタもありそうです。
あせらずゆっくり振り返っていくのも楽しそう。

素晴らしい企画を実現してくれた中島先生、方条さんに感謝。
次回も楽しみにしています!

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