第4回「技で振り返る松聲館の歴史」~四方輪、体内波、肩の溶かし込み~

今回で4回目となる甲章研究室主催の「技で振り返る松聲館の歴史」に参加した話。
テーマは「四方輪」と「体内波」、「肩の溶かし込み」まで進んだ(当日の進行具合によるので、どこまで歴史が進むかは未定なのです)。

■井桁
第3回のテーマである「井桁」のおさらいから。
『井桁術理』は平行四辺形のモデルで説明されることが多いが、
実際は井桁上に組み上げられた構造物が、一斉にずれる動きである。
このように理解していると、「四方輪」から「体内波」への移行がわかりやすくなる。


■四方輪
腰から体の中を通る腕が伸びてきて、両肩を掴んだ後、
肩を腰まで引きずり込むように肩を沈める。
この状態のまま動くのが「四方輪」である。
肩を沈め込むと身体の前面が丸まり、上下の円を形づくることと、
肘も固定される形になるため、手の動きが左右の円の動きに制限されることから、
上下左右に輪が出来ることから「四方輪」と読んでいたとのこと。
腰から生えた手に操作される感じで動くので、ガラモンとかピグモンみたいな感じになる。
関係ないけどピグモンしか知りませんでした。
写真は左がピグモン、右がガラモン(稽古ではどっちでもイイです)。
 


■体内波
当時、3時間ほどで四方輪から体内波に変わったらしい。
きっかけは、手を後ろに組んだ状態で掴まれたところから逃げるという形から。
手が後ろにまわった状態では「四方輪」が作れず、どうにかならないかと稽古していたところ、
海蛇がクネクネ泳ぐように身体をくねらせると何だかほどけてしまうというのを発見(発見者が甲野先生かどうかは聞き逃してしまった)。
クネクネすると掴まれた手を動かすことが出来るというところから、体内波は生み出されたとのこと。
しかし体内波のイメージは、もっと小さな波、振動であり、例えるなら無数の蜂がホバリングしているような状態で、
動くときもそれぞれの蜂が動くイメージなのだそう。
ここで重要なのは、”無数の蜂がホバリングしている感じ”だという点。つまり、見た目は止まっている形でも身体はいつでも動ける状態にあるということである。
技の途中で相手にぶつかったとしても、それは無数にいる蜂の数匹がぶつかったということなので、その他無数の蜂は止まらずに動くのである。
実際、中島先生は「ぶつかっても動いてみよう。」と思って動いてみたところ予想外に動けたという体験が、(自分にも技が出来るようになるのだ。)と実感した瞬間だったそうな。

下の図は上から「説明でよく用いられる井桁イメージ」「身体感覚としての井桁イメージ」「体内波を井桁の形にしたイメージ(この図は私の個人的なイメージです)」











■肩の溶かし込み
「四方輪」に似ているが、「体内波」を経た上での変化なので、「四方輪」のような不自由さはない。
聞きなれた言葉で書けば、”肩があがってはいけない。”
ということなのだろうが、
同じように思えるポイントであってもあらためて何度も気づきなおして、改良・矯正していくところが甲野先生の進展なのだ。
改良点を発見->強調させて稽古->内在化(当たり前になってしまう為、ことさら言わなくなる)
->改良点を発見ー>強調させて稽古ー>内在化(当たり前になってしまう為、ことさら言わなくなる)
->・・・

この日、説明を聞いていて感じた『四方輪』『肩の溶かし込み』と、甲野先生の最新の気づきである『虎拉ぎ』に共通点を感じたのは間違えではないだろう。
甲野先生の技の歴史を同時期に学んでいるのだから。



甲章研究室(http://hojos.blog135.fc2.com/)主宰の「技で振り返る松聲館の歴史」シリーズ。
次の日程は未定だが、4月に開催予定とのこと。
今から楽しみです!

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