太刀奪り研究@甲野善紀「武術の実演と解説」東京武道館

甲野善紀先生の講座@東京武道館に参加。 
稽古も気づきもたくさん。
ここの講座は時間が長め(2時間半)だわ、周りで稽古できるスペースが十分にあるわ、一緒に稽古してくれる人はたくさんいるわ、比較的家から近いわで参加するとなにかしら進展が得られるお気に入りの場所。
 甲野先生に「『辰巳返し』『斬り落とし』『太刀奪り』の3つが出来るようになると色々と変わってきます。」といわれた技のうちの1つ『辰巳返し』から。

■辰巳返し 甲野先生に「『辰巳返し』『斬り落とし』『太刀奪り』の3つが出来るようになると色々と変わってきます。」といわれた3大技(?)のうちの1つ。
 「いたいた、稽古すれば出来るようになるというところを見せて下さい。」 
と合流早々、辰巳返しを披露することに。
押さえてくれたのは女性だったので、重さ的には問題ないと思ったのですが、押さえ方が素敵でした。 腕立て伏せなみに身体を伸ばした状態で私の手首を押さえるというもの。
これを見た甲野先生が
「これは厳しそうですね。」
といわれた通り、 上がるには上がったけど、途中で滞りを感じた。 先入観の無い押さえ方には、あのような方法もあるのだと勉強になりました。 精進します!!

 ■太刀奪り
これまで全く見えなかった甲野先生の動きが見えるようになってきた。
相手の左側へ抜けるには、右膝を抜き身体を右側へ移動。
同時に左足を降りあげて左半身を移動。
見よう見まねで、実際動いてみると悪くない感じ。
見えるようになって、あらためて説明を聞いてみると見えたままの説明をされているから何だか不思議。
しかしこれでは不十分。
不十分なのは前への動き。実際、甲野先生の打ち太刀で受けさせて頂いたが、剣を避けきることは出来ない。
「お、いいですね。」
の一言をいただいた点は、見えるようになった進展の証拠か。
次はどうやって前に出るかだ。ここから先は甲野先生の言葉をかりれば「進入禁止区域」へ進む必要があるということだ。
相手の剣を避けるために、相手の剣に向かう。という身体が本能的に拒否したくなる動きを行う必要がある。
甲野先生「普通は進入禁止区域があることにすら気づけない。」
太刀奪りの研究がちょっと進んだかも。


■斬り落とし
気にしないということ。
手を使わないということ。
どうやら手を引っかけようとすることすらしないようだ。
頭では理解したつもりでやってみても、気になっちゃってしょうがない。
この誘惑に打ち勝つのは難しそう。 『進入禁止区域』に入れるか?!


■U田さんと
・みちのく山道 「みちのく山道」で身体の状態を検証。
身体を後ろに引いていないか
手を前に出し、前にいるU田さんの肩に軽く置く。
この時の上下の感じ。上下の感じがあると左右・前後も発生している。
前後に動いたときに上下が消えないように。
色々な動きがあるがこれに尽きる。
相手に何かしようとしたり、相手が何かしてこようとしたりしたとき、この感じがどうなっているか。
普通は消えてしまう。しかし常に”在る”状態でいれば、触れたら即、働く力となるようだ。
面白い稽古方法を教わった。
「追いかけっこしてる感じで逃げて下さい。」
U田さんが上下の感じなどを無くした状態と、そうでない状態で私に向かってくる。
私は背を向けて逃げる訳ではなく相手の様子を見ながら、相手が何かしようとしてくるところを避け続ける。
前者は気配と次の動きが丸わかりで難なく逃げ続けられるが、後者はどこまで行っても逃げられない感じ。距離感が狂わされるのか、いつのまにか捕まってしまう。
その他にも。
上下の感じが出ていると相手に触れたときの働きがまるで違ってくる。上下の感じは前後にも働く。
特に前に行くときは、しゃがんだ位置からぬめっと出てくるように動くと強力な働きが生じる。
初めのうちは本当にしゃがんだような位置から動いてみると良いらしい。
実際U田さんの動きに触れてみると、触れた瞬間にはもう働いている。触れてから何かをするという速度ではないのだ。
気づけない手。
これも面白い、目の前のU田さんが私に向かって下げた手を上げながら伸ばしてくるのでそれを払うという単純な形。
たいした速さで挙げられているわけでもない手が払えない。
正確には気づくのが遅れて間に合わない。
手・肘・肩と身体全体の繋がった感じ。その感じのまま手を挙げて来られると、こちらが気づけない動きになる。
面白い。かつて甲野先生が、韓先生の動きを見て「一瞬テレビの砂嵐が起きたように見失った。」と言われたのは、このような質の動きではないだろうか。

■K磯さんと
K磯さんがみちのく山道の上で180度転換をしていた。
面白そうなので私もやってみると案外からだが軽い。
360度もいけそうな気がしてやってみると悪くない。
ジャンプしたり、蹴ったりすると痛いのでけっこうシビアなはずだが、動くのにほとんど支障がない感じ。
我ながら動きが軽くなっているなぁ。
K磯さん「遊びましょう。」 面白い遊びを紹介していただいた。
私がK磯さんに背を向けて立つ。
K磯さんは私の背中に手を当ててつつ背後で構える。
私は身体を反転させて背後にいるK磯さんの左右どちらかを抜ける。
K磯さんは私の進路を邪魔して止める。
攻守入れ替えて遊ぶ。
面白かった。
絶対的な速さと気配を消した動きが求められる。
この場合の気配とは、身体の動きに見えるところだけではなく、接触面から伝わる情報のこと。
一段階進むと駆け引きも楽しめる。
接触面に偽の情報を与えて、相手を反応したところを逆をつくというもの。
これはスポーツへの応用が期待できそうな遊び。
うまい人って相手を止めてしまうような動きをしているように感じます。
もう1つのお遊びメニュー お互い横向きに立って、一方が相手の肩に手を当てる。
後は同じで、相手の前側か後ろ側のいずれかを抜ける。
一方はそれを阻止する。 これも面白かった。
「たいさん早いな。」
という嬉しい言葉つき。

■中島先生と。
この日は2人でお揃いのMATAWARI JAPAN Tシャツ。
ここ東京武道館の柔道場の縁には股割りに丁度よい段差がある。
特に何かを話すでもなく中島先生と横に並んで股割り。
なるべく厳密に。
なぜ前に行けないのか、自分を観察しながらやっていて気づいた。
自分の意志の及んでいないところで、体の前側を縮めている。
・頭は前を向く
・腹圧をかける
・力こぶは前
これらを守っていても前に行けないのは、鳩尾が縮んでしまうからのようである。
それならばと、鳩尾が1mmも縮まないように動いてみると、動けない。
どうしても鳩尾が縮んでしまうのだ。
この時、胸椎の下の部分腰椎のすぐ上あたりにテンションがかかる。ここが前に出るようになれば、もっと重心を前に移動することが出来そうである。
股関節の爆発的な回転力は得られるか!?
東京武道館では珍しく、T居さんやO女史にもお会いできた。
O女史の太刀奪りの避け方が独特。 T居さんとも稽古したかったなぁ。

参加されたみなさま、ありがとうございました!!

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