大発見?!『負ける稽古』

Sさんと稽古した続きの話。 

負ける稽古@『正面押し』 
方条さんがよく使う言い方だが、相手をどうにかしようとして力むくらいならこちらが負けてしまえ、というつもりで動くという稽古。 
負けるのが目的なので相手を崩せるかどうかは気にしないで動く。 
これを『正面押し』でやると、相手を押そうとせずに自分が後ろに倒れるつもりで手を伸ばすことになる。 
以下は少し前に水天宮の稽古で思い付いたもの。 
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壁を相手に負ける稽古をやっていたときのこと。 
ゆっくり押してみる。当然壁が負けるわけもなく、自分の方がゆっくりと斜めに傾きながら後ろに倒れていく。 
速く押してみる。ここでいつもと違う動きが出ていることに気がついた。斜めに倒れるのではなく、身体ごと後ろに移動している。 
速く押すときに上半身から斜めに倒れるように『負ける』と腰が反ってしまいそうになるためだろうか、それを避けるように身体全体が後退した。 
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この身体全体で負けるようにしたら結果的に威力が増すのではないかと考えていたのだ。 

ついに試すせる機会がやってきた。 
Sさんに受けてもらうと明らかに強力になっているようだった。「早く伝わる」という感想だったと思うが、こちらの動きが直接的に相手に作用するという事だろう。 

Sさんにもやり方と感覚を説明してやってもらうと、Sさんの『正面の斬り』がかつてないほど強力になった。 
こちらが構造を安定させて足だけはわざと居着かせて動いてみても、Sさんは普通に座ったままこれに耐えてしまう。 
Sさん自身が実感がないようだったので、試しにいまのやり方を止めてもらうと、こちらの加減は変わらないのに今度はSさんが後方に弾き飛ばされた。 
これは相当強力な作用が生まれているようだ。 
すごい発見かも知れない。 

『プチ衝撃殺し』 
この負ける感覚から、方条さんがやる『衝撃殺し』がふと出来るような気がしてきた。 
『衝撃殺し』とは、一件無防備に立った状態で、相手に両手で胸を突き飛ばしてもらう。 
突き飛ばしてもらうのだが、こちらは『衝撃殺し』により突き飛ばされないというもの。 
Sさんに軽めの手加減で突いてもらい何度がやってみるが、突き飛ばされて崩れないながらも身体ごと後ろに移動してしまう。 
『負ける稽古』でやっているのでこれはむしろ正解なのだが、もう少し相手に作用させるにはどうするかと考えて、弾き返されるつもりで相手に向かうというのを思い付いた。 
Sさんにはだいぶ手加減して貰っていたが、受けた感触は方条さんの『衝撃殺し』に感覚が近いという。 
これはやはり大発見か。 
ちなみに方条さんは、この『衝撃殺し』を相手にある程度強く当たってもらう条件プラス自分は片足で立つという条件でやってのける(笑) 


他にもやりました。 

柔道技 
『浮落』、『隅落』 
Sさんが恵比寿でやったらうまくいかなかったという、『浮落』を受ける。 
受けてみるが私も崩されない。相手と繋がっていないのだ。 
相手の動きが伝わってくる状態で動くとどこにどのように落とせば技に掛かりそうかが、感覚的にわかるようになるようだ。 
私の感覚では、相手が左前隅に引き出されて次に重心移動をしようとしているほんの少し先に導いて落とすと技にかかる。 

負ける柔道 
「押さば回れ、引かば斜めに」三船十段の言う柔道の極意。 
これを負ける稽古の感覚でやると面白いことになりそうだ。 
ただ、感覚を逆転させる必要があるので体現するのはなかなか難しい。 
でもきっと何かあるに違いない。 

Sさんの提案で『井桁』 
Oさんがいるときに出た『井桁』で、一度だけ上手く行った胸の感じがでない。 
違う、違うと駄目出しをし続ける地味な稽古もたまには必要。 
お調子者の私はすぐに(自分は出来るようになった!)などと勘違いしがち。 
私のレベルなどこんなものだと再認識することで謙虚な気持ちで稽古を続けられるのだ。 
謙虚なほうが上達するような気がする。 
でも謙虚と卑屈は別物だから注意。 

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