松聲館の技法レポート『謙譲の美徳』のお返し??

甲野先生が出してくる腕をこちらが横方向から払う形。
こちらの手が先生の腕に触れるや、1メートル後ろの壁まで吹っ飛ばされる。

「コンコンとノックする。」
「相手に触れる前に引っ込めようとするのが難しい。」

甲野先生の説明が技の説明になっていない。
これまでの過程が省略されている上に技も鋭く強力になってきるので、わけがわからなかった。

夜間飛行から発行している甲野先生のメルマガ『風の先 風の跡』に載せるため、松聲館へ動画撮影に行ってきた。

しばらくお会いしていなかったせいか、技が大きく変わっていて付いていけない。
と言っても2週間くらいしか空いていないはずだが。
ざっと以下の技の全てが変わっていた。

『払えない突き』
触れると跳ばされる。

『斬落し』
止めようとしても後ろに跳ばされる。

『浪之下』
何故か持っていられなくなる。

『柔道の組手』
十分に組んだところから相手を押し崩される。
こちらの体が一瞬浮かし崩される。

『真剣の速度』
これまでで一番速いのではないか。

『打剣の変化』
ソフト竹刀で検証。
変化するのかしたのかわからないまま打たれる。

『座り正面の対応』
触れた途端、後ろに跳ばされる。


「これは『謙譲の美徳』です。あなたに教えてもらったものをお返し出来ました。」
こうも言われたが私は先生にこんなすごい技を教えた覚えはない。
説明には省略されていたが、ここ最近先生の技を受けている小磯さんによる説明に助けられた。
きっかけはサッカーの競り合いで相手の中心(芯)に向かってぶつけていくと相手が反応しにくくなって止められない、というもの。
ここから相手にカンとぶつけるという感覚が出てきたようだ。
その後、別の形でも相手の芯にぶつけると技が効くことに気づいた。
これらを経て一度ぶつけるのではなく、二度ぶつけるノック「コンコン」の発見に繋がっている。


確かに受けて体ごと跳ばされる感覚は『謙譲の美徳』に近いが、発見の経緯からわかるように『謙譲の美徳』だけではない。
『飃拳(ひょうけん)』、『石火崩し』、『太刀奪り』、『佐那流立ち(さなるだち)』
ちょっと思い付くだけでもこれらの発見があっての今回の技だ。
『謙譲の美徳』を利息付きで返してもらった格好になったが、こちらが受け取れるようになるのはまだまだ先になりそうだ。
自分の動きとして取り入れるためには、今日受けた技の感触をもとに、自分の技としてあらためて発見し直さなければならない。
その時はきっと先生の技と同じものではなくなっているだろうが、それこそ甲野先生が望む形であり、甲野先生との稽古の成果と言える。


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