NHKの番組「爆問学問」放送直後(翌日)の池袋コミュニティカレッジで行われた甲野善紀先生の講座。
池袋はいつ参加しても空いているという謎の講座なのですが、さすがに参加者急増の恐れもあったので前日に予約を入れておいた。
当日受付でのやり取り。
私「今日はいつもより多いですか?」
受付「やはりTVの影響が出ています。」
私「昨日の放送でももう影響が出るんですね!」
受付「はい、予約だけでももう6人もいらっしゃいます。」
私「(6人?)ああ、そうですか(少なくない??)。」
6人中1人は私で、2人は私の稽古仲間とその連れの方(参加動機はTV関係なし)ですから、実質TVの影響は3人ですね。
その後に開催される東京武道館の講座が1ヶ月前に満席になったのに比べると、、、池袋おそるべし。
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爆問学問を見てきた方からの質問に答える形で、上達の秘訣について話を聞く事が出来た。
「必然性があること」
「面白くてしかたがない。」というのもそうだし、
「命懸けである。」というのもそう。
同じ練習をしてもただ漫然と繰り返すのと、必然性を強く感じて行うのでは大きく差が出てくる。
「命懸けである。」というのは難しい。
しかし、甲野先生が話す昔の達人エピソードでよく出てくる中井亀治郎の話は命懸けの良い例だろう。
がれ場に醤油樽を転がして、ほぼ落下するように落ちていく樽を、棒でたたきながらかけ降りたという信じられないような話。
なんでも中井亀治郎は小さい頃から木の枝から枝に飛び移り、逃げ回る猿を捕まえて遊んでいたという。
参加者「筋トレは良くないという話でしたが、どのように練習すれば良いのでしょうか。」
という質問に対しては、
「昔は仕事で身体を作った。」といい、
そば屋の出前で1.5mくらいの高さに積んだ状態で片手運転で自転車をこぎ、落とすことなどなかった。
それどころか、自転車を止めるときなどはひょいと上に投げ上げてキッと自転車をとめて、ポンと受け取ったという。
アメリカかどこからか来日した人が、釘もないところからどんどん打ち込める不思議な金槌を欲しがったというが、それは大工が口に含んだ釘を手で取り出して打ち込んでいた様子が早く、よどみが無かったので金槌に秘密があるように見えたという話。
昔はこういう仕事が出来る大人が当たり前にいた。
甲野先生がTVで「伝統が途絶えた」というのはこういう事態のことをさしているようです。
甲野先生は昔の達人のレベルを自分と比較してこう言う。
「昔の達人のレベルが床から体育館の天井までの高さなら、私は床にある点字ブロックの突起程度。そんな私程度の技がこうして少なからず驚かれるというのは、本来嘆かわしい話。」
NHKの番組中にやっていた技も紹介していた。
■辰巳返し
押さえられているのは手首だが、相手を背中に背負うように動く。
押さえられている部分は気にしない。
■太刀奪り
蹴らないで動くというもの。
これは体捌きの検証稽古と位置づけた方が良さそうだ。
読み合いの稽古になると体幹のスピードを得ることが難しくなる。
■虎ひしぎ
ブラジリアン柔術をされているという参加者。
甲野先生「TVで見てもよくわからなかったでしょう。」
参加者「。。。すみません、見てないんです。」
甲野先生「見てないの?何で来たの?」
この返しは面白かった。
とにかくTVよりも丁寧に説明して、その効果を検証。
講座後も手の形を質問される方が多く、対応しきれなくなった甲野先生は足との繋がりを発見した北川さんに振って脱出。
■平蜘蛛返し
やりませんでした。
NHKの撮影時には無かった技
■木口返し
先日の綾瀬の講習会(http://vtotai.blogspot.com/2011/11/bulink.html)のこと、正面の斬り@辰巳返し版で粘っていた私に対して、座りの「足裏返し」で対応されていたが、これはそこからの進化版。
丸太を縦に転がすのではなく、横に転がす。
縦には転がらない丸太も横には簡単に転がるというもの。
木の断面側から見ている形で横に転がすので、「木口返し」。
受けてみると、綾瀬の時とは違う感触。
ふわっと放り投げられているようだ。
日記を書いていて、早く試したいことがあるのだけれど、、、
やってみてのお楽しみ。
講座後、よくお会いする参加者の方に虎ひしぎの手の形と、鎮心のツボ・指先から動くをご紹介。
強く納得されていて何かを得た様子。お役に立てたようで良かったです。
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