稽古日記特別編~甲野善紀先生の中部・関西講座~(三日目:神戸『凱風館』稽古会)


(続き)

(1つ前の日記:二日目大阪稽古会はこちら

甲野先生から嬉しいお知らせをいただく。
「内田先生はいませんが、内田先生の道場で出発までの時間少し合気道の方達と稽古会をやります。」
内田樹先生の道場といえば『凱風館』という新しくたてられた道場である。そこで稽古出来るというだけで貴重な経験。
加えて合気道は未経験。
ここまで来たらもちろん、同行させていただく。

○おさらい会

ホテルをチェックアウトして、帰りの新幹線の切符を購入。
合気道の稽古が始まるまで少し時間があるという事で、朝食というか昼食をしながら甲野先生と昨日までのおさらい会。
先生はときおり録音しながら今回の気づきについて話をする。
先生は自分以外の誰かと話ながら自身の気づきの整理をしていくのだ。
講座では人を選ばない先生だが、技の整理をするときの話し相手は向き・不向きがあるらしいw

(メモより)
・高内刈りからの隅落とし
・払われない手:膝が迎えにいく。手は動かさない。
・斬り込み入り身:浮きがかかる。宙にいようとする身体の働き
・全身を使う=身体の中で動滑車が生まれるような効果があるのかも
・太刀奪り:剣を拳で打ちにいく(=避けない)
 気持ちの在りようの違い。
 飛ぶ鳥をダイビングキャッチしにいくような積極性。
・気づきの種類:技の形の気づき。原理に迫る気づき。
 柔道の気づきは前者。膝が迎えに行くは後者。
・蹴らない動き:八荒の太刀
・膝が迎えに行くと膝抜きの違い:前者は浮き。後者は落下。
・足裏返しの肩の抜け効果を残す:今の太刀奪り

なぜだか甲野先生にごちそうになってしまいながら店を後にし、いざ凱風館へ!


○凱風館

駅からすぐ近く、こんな近くに道場などあるのかという場所に凱風館はあった。
きれいな道場でシャワー室まで備えられている。
畳も柔らかい。

迎えてくれた書生一号のN女史から名刺をいただく。凱風館のシルエットがステキな名詞だ。
合気道は女性が多いのだろうか、たまたまか。参加者の半数が女性。
以前妻が「袴をはきたくて合気道か弓道がやりたかった。」と言っていたがそういうものなのだろうか。


甲野先生が合気道を経験されているせいか、指導者をされる方が相手だからか、それとも内田先生にお願いされているのか、いつになく詳しく教えているように見えた。
説明も動きも1つ1つ丁寧に教えている。技の感触まで説明されている。
こんな甲野先生は他の講座ではなかなかお目にかかれない。
後にわかるが、それくらい丁寧に教えたとしてもすぐに出来るようにならないくらい合気道は難しいのだ。
私なんて技の手順を覚えるだけで精一杯のところ、さらに技として効かせなくてはならないのだから難しいのは当然か。
二教、三教、小手返し、肘固めは4つで1セット。
技をかける場合は、詰め将棋のように常に王手王手で攻め続ける。

<見取り稽古>
・自分の近くで技をかけている
・相手に近づくという説明では、身体全体が近づいている
・「太刀は動かぬものと知るべし」は合気道でも同じか

番外編
茶道をされている方から楽な立ち上がり方を質問されていた。
「キ座になるのと立ち上がるのを同時にやると良い。」
なぜかこの説明を聞いて、名古屋の山口先生に見せていただいた正座から立ち上がる動きと、大阪の石田先生に教わった正座からの楽な立ち上がり方が結びつく。
今の今まで出来る気がしなかった動きが、試す前から何となく出来そう気がしてきた。
技が出来るようになる時の感覚だ。
やってみたら出来ることもあるし、しばらくしたら出来るようになることもある。あるいは今でも出来ないものもある。
しかしこの出来そうな感覚は大事。
で、やってみたら今回は何と一発で出来た。

柔らかい畳のおかげで、足裏を捻るかもという恐怖心が薄らいだのだ効果もあったのだと思う。
しかし、もう一度やってみよう!と思ってやってみても最初ほどうまくいかない。
2回目の法則というやつである。
片手プッシュアップの時もそうだったが、とにかく一度出来たのだ。これは大きい。


最後に記念撮影をさせていただいて終了!


○帰路

道場で引き留められる先生を置いて、一足先に新大阪へ。
私には重要なミッションがかせられているのだ。たとえ甲野先生を置いていってでもクリアしなければならない。
それは家で待つ家族へのお土産。出発までの30分で妻の実家の分までしっかり購入。大阪限定ものという要素は外さないところがポイント。
がっつり購入したところで、甲野先生が道場で一緒に稽古させていただいた受けに特徴のあるお二方とともに到着。
二方からなぜかたこ焼きをお土産にしていない事についてダメ出しをされる。
帰りの新幹線では先生も私もさすがに疲労でちょっぴりウトウト。
それでも起きている間は技と稽古の話。

(メモより)肘から先は無い。『唯カイナ計リヲ遣ウ事ゾ』

甲野先生が後に「以前の数年分の気づきがあった」と言われた3日間にご一緒させてもらえたことは、私にとっては何年分の気づきを前借りしたことになるのかわからない。
もちろんたった3日間、何が身に付いたのかは自分ではわからない。
しかし身体中に稽古のお土産が詰まっているようで、早く稽古仲間に伝えたい!という強い感覚。
この余韻はしばらくは続きそうなので私にお会いした方、お土産の押し売りをさせて下さい!

何よりもこんな不良パパを快くいかせてくれた家族に感謝!!!


コメント