柔道練習125回目『柔道形を通じて技の仕組みを見る』

昇段審査を控えたAさんの形の練習相手をつとめた。

2段の形なので捨て身技まで含まれる。
浮落
背負投
肩車
浮腰
払腰
釣込腰
送足払
支釣込足
内股

ここまで初段の形、ここから2段の捨て身技
巴投
裏投
隅返
横掛
横車
浮業

審査には受けも含まれるので、まずは私が取りでAさんを投げる形で練習した。
受けなれない投げに対して綺麗に受け身をとるのもなかなか大変そうだ。
当日の相手もまだ確定していないそうなので、練習してきた相手が上手な先生に相手をしてもらえることを願う。

続いてAさんが取りの練習に取り組んだ。
特にAさんが苦手と言う技を中心に受けることにした。
まずは肩車
持ち上げるのに苦労するというので、先日私が気づいたやり方を伝えたところ、ずいぶん楽に持ち上がるようになった。
ちなみに私の肩車は空気投げの浮落をヒントに相手のバランスを手前に引き出しつつ、やじろべえの真ん中に自分が立つように相手したに入り込むやり方だ。
形では1度持ち上げて止めるが、持ち上げずに投げるなら真ん中に立ったところからバランスを反対方向に崩してあげればほとんど重さを感じることなく投げることができる。
慣れない左の肩車はひもトレ『鎖編み四方襷』の力を借りてやってもらったところ、持ち上げられていても不安にならないしっかりとした形になっていて驚いた。

続いて浮腰
浮腰は嘉納治五郎先生の得意技で、突っ込んでくる相手に対し体を差し入れて密着し、横回転することで相手を投げ飛ばす軽快な技である。
Aさんは他の腰技と混同し腰に乗せて縦回転気味に投げようとされていた。
これでは浮腰特有の速度がでない。
相手に密着することと、回転方向は横だということを意識してもらうと受けが振り回される威力のある浮腰になった。

それから払腰
Aさんは軽量級で普段払腰の練習をしないせいもあって、ずばり投げ方を忘れてしまったという悩みだった。
受けてみると足で投げようとして上手くいっていないようだったので、足をあげる前に相手を腰に乗せることを意識してもらい、腰の回転を軸足一本に乗せるようにして、払う足を自由に出来るようにアドバイスをした。
するとフワリと持ち上げられる腰技特有の感触が生まれ、受けていても気持ちのよい払腰に変化した。

その他気づいた点をアドバイスした。
浮落
3歩目を相手よりも少し大きく引くと受け身が取りやすくなる点。

送足払
3歩目のタイミングを少し早く、動きを大きくすると足を払わなくても相手が宙に浮く点。

釣込腰
奥襟を引き上げる動作と同時に引き手も働かせるのだが、働かせ方がわからないと何ともしようがない。柔道着をピンと張るように引き手と釣り手を働かせるようにアドバイスしたところ上手く投げられるようになった。


反対に私がやっていて難しかった形もある。
中でも次の2つは難しく感じた。
裏投
横掛

裏腰は相手が打ちかかってくるのを、こちらは半身にならず正面から入って裏投げに入るのだが、つい半身になってしまう。

横掛は崩しから作りの間に相手を横に向かせると言う独特の入りで、慣れないので手順に戸惑う。
それに相手を横に向かせてからの捨て身の形もどうやったら綺麗に決まるのか掴みきれない。何となく出来てる感じが否めない。
見た目にできていても仕組みを理解できていないと他人にアドバイスができないというのを実感した形であった。

形の練習を一通り終えて少しだけ空気投げ研究にも付き合ってもらった。
後ろ方向への空気投げ『浪落』の小さくて速い版の『小内刈』の展開を確認した。
後ろ方向への空気投げと聞いて横掛を受けたように後ろに投げ飛ばされるイメージを持たれたとのことだったが、『浪落』は後ろ方向へ崩した後、下方向に倒す技である。
この説明は『小内刈』の説明でもよく聞く説明だ。後ろ方向に押してしまっては相手が後ろに下がるばかりで倒せない。
長くなりそうなので先にまとめるとこうである。
足を使わずに『小内刈』の説明通りに倒す技が空気投げの『浪落』といえるので、『浪落』が上達したら『小内刈』も上達するというわけだ。
『浪落』は足をかけないのでタイミング技の切れともに『小内刈』以上のものを要求される。

技を掛ける寸前、相手は上半身が仰け反った形で後ろ方向に崩れているのが理想である。
こうなる為には前方向に進む相手の足はそのまま前に進むかのようにしておき、上半身を前方向の力を上から後ろ方向に転換して崩すと良い。
この動きを大きくゆっくりと表現すると合気道の演武でみたような形になる。
大学で合気道を学んだAさんも「合気道で習った形に似ています。」と口にされていた。
小さく速くするには松聲館の杖の形『下段抜き』でイメージ出来る一筆書きの動きと体の纏まりが必要だが、これを説明するのは難しい。
とにかくAさんに受けてもらい、感想を伺うと「(下方向に働く力が)重くて耐えられない。」とのことだった。
理想としては重さを感じることなく下方向につぶれてもらいたいので、そこは崩しに課題がありそうである。
またゆっくり大きくやる『浪落』も合わせて検証を重ねていきたい。


空気投げ研究サイトを作成しました。
http://air-throw.blogspot.jp/

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