甲野善紀俳優向けワークショップ

面白かったり不快になったりするのは予測を裏切られるから。

技がきかないのは相手の予測通りだから。
技がきくのは相手の予測を裏切るから。

予測される動きは直線的、予測されない動きは3次元上の曲線的。

演劇との関連が深いと言われていたのはこのあたりの話だった。
面白かったり不快になったりするのは予測を裏切られるから。
心地好く裏切られたら面白く、不快に裏切られたら負の感情が呼び起こされる。
予測通りだとつまらない。

そんな話を聞きながら参加者の方々の質問に答えながら、一緒に稽古をしながら楽しい時間を過ごさせていただいた。
中でも日本拳法をされているかたにお伝えした内容は打撃と投げに通じる部分を多く感じて興味深かった。
威力のある突きとそうでない突きの違い、逃げにくい投げとそうでない投げの違い、これらには丈夫な姿勢という共通点があり、自身の重心位置との関わりもある。

ロシアンフックをあてるための準備としての突きのコンビネーションの話は、理論上逃げられない技という私の妄想を掻き立ててくれた。

後日Twitterで元ボクシング世界チャンピオンの木村悠さんが、ボディへのパンチを効果的に当てるにはその前にアッパーを出すというのを説明されていてこれも刺激になる。
柔道技の小内刈から背負投などといったよく知られるコンビネーションが何故効くのか、このあたりの理解を深めていきたい。

話が講座からそれたがこの日『紙撚り(こより)』を作るワークショップも行われ、生まれて初めて紙撚りを作った。
何度かやってようやくそれらしい紙撚りを作れるようになってきたが、実は紙撚りの使い道を知らなかったので甲野先生にお尋ねしたところ実に色々な使い道を教えてくださった。

要は紐を作っていることになるので、編んで作るものは大抵紙撚りで作るものの対象になるようだ。
かごのような想像しやすいものから、服のように意外なものも紙撚りで作るという。
耐水性を求める場合は柿しぶを塗るのだそうだ。
いやいやしかし、甲野先生は物知りという言葉では言い表せないほど様々なことをご存じで、ふと我にかえると本当に不思議でならない。

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