2024年を振り返る

今年は『投げ、素振り、手裏剣の一致』をテーマに掲げ、特に投げ技の研究において大きな進展がありました。その過程で、複数の武道を横断する新たな気づきも得られ、技の本質についての理解が深まった一年となりました。


投げ技研究の深化

■柔道技の体系化

・柔道「五の形」については、空気投げ研究の視点から新たな解釈を試み、月刊秘伝3月号に掲載されました。

・「一文字分析」という独自の視点で柔道技を整理する試みを展開。これは技名を一文字ずつ分析することで、技の本質や関連性を探る研究です。この成果は月刊秘伝11月号の柔道特集で紹介され、さらに厳選した10文字について25年1月号から隔月で連載中です。

 


■実践的な学び

志道館での「浮落」をテーマにしたセミナーでは、「一文字分析」の研究成果と松聲館の技法を組み合わせて指導をおこないました。参加者からの反響も大きく、その後、志道館の坂東真夕子館長から外国人向けの指導に活用したとのご連絡をいただきました。



宇高菜絵選手のセミナーでは、世界レベルの大外刈を直接体験。腕力に頼らない崩しの極意に触れ、技の可能性の高さを実感しました。


剣術研究からの発見

■松聲館の技法研究

・国井善彌師の剣術形を題材に、甲野善紀先生と光岡英稔先生のコラボセミナーで新たな気づきを得ました。姿勢、体捌き、接触の間隔について、従来の理解が大きく更新されました。

・甲野先生から一教を中心とした合気道技法の指導を受けました。他にもメールマガジン向けの動画撮影の機会を通じて、手の裏取り、太刀奪り、四方投げ、合掌崩し、井桁崩しなど、多岐にわたる技を学びました。これらの技法は投げ技研究にも新たな視点をもたらしています。


研究の広がり

■共同研究の成果

・N氏との研究稽古では、崩しの技法を寝技へ応用する試みや、空手、合気道、少林寺拳法の知識を交えた議論から、多くの示唆を得ています。

・雀鷹舎の岡田氏からは、松聲館、KDS・空手道松濤會、シュートボクシングの経験に基づく独自の視点で助言をいただき、技の理解を深めることができました。

・つくば身体操法研究会では世話人の林邦則さん、小磯さん、森さんをはじめ参加者の皆様との交流を通じて多くを学ばせていただきました。

日本シュアイジャオ協会会長の駒井雅和先生からは、相手の重さを感じない投げを体験させていただき、たいへん勉強になりました。

■素振り、手裏剣との融合

投げ技、素振りの感覚と手裏剣の一致を探る試みでは、周囲から「手裏剣に独特の雰囲気がある」との評価をいただいています。まだ一致したと言い切れる境地には至っていませんが、確かな手応えを感じています。


今後に向けて

下原道場での柔道練習と研究稽古を継続的な基盤として、「投げ、素振り、手裏剣の一致」というテーマをさらに深めていきたいと考えています。今年得られた気づきや変化を、より確かなものとして身につけていくことが次年の課題です。また、柔道公認C指導員の資格を活かし、研究成果を指導面でも展開していきたいと思います。








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