三船久蔵十段「投裏の形」15本を映像からあらためて確認。
実は以前(2013年3月5日)にもやったので12年ぶり2回目の試み。
前回の記事(https://vtotai.blogspot.com/2013/03/blog-post_6.html)
前回の記載を元に見え方が変わったところを更新する形で纏めてみよう。
前回
今回
相手の動きを感じることが出来てこその「投裏の形」。
この言葉は今の感覚で読んでもまさにその通り。
1.浮落を体落
浮き落としの重心移動を感じて前に進み、相手を後ろ隅に崩して、体落
浮落の重心移動に従い斜めに進み、相手を後ろ隅に追い込んで、体落
今見るとわかりやすく、自然にこうなりそうな感覚がある。
2.背負投を横車
背負い投げの軌道を先回りし、右前隅に崩れた相手の前に回り込みその動きのまま横車
背負投の回転に従い身を浮かし回し、相手の前に回り込み、落下の勢いを利用して横車
理論的にはわかる気がするが、身を浮かして回す動作が自然に発生するかどうかが鍵だが、これは投げが仕掛ける力の方向によるものか。
3.肩車を隅返
肩車に来たところを察知して、体制を崩さずに後ろ重心で耐える、相手が肩車に入れずにおろした勢いのまま隅返
肩車の仕掛けを姿勢を崩さずに後ろ重心で耐える。相手が下方向にバランスを崩した動きに従い、隅返
軸を保って受けると抱え上げられそうになった際に相手に寄ってしまわずに重さを相手の重心から遠い位置で保つことで結果的に重さがかけられそう。
4.体落を小釣腰
体落としを右足、左足の順に跨ぐように相手の前に進み、相手と前後を入れ替えて小釣腰
体落の仕掛けを右足で跨ぐように躱し、続いて左足を出して相手の前に進み、左の小釣腰
引き手の力で前に進みつつ右足が跨げれば左足は自然と出て相手の前に進めそう
5.帯落を大車
帯を持ち、腰に手をかけて帯落としに入らんと反転しかけたところ、この動きを貰って大車。
受けが右手で帯を持ち、帯落を仕掛けんと取りを引き出した後、取りの足を取ろうと左腕を伸ばしたところ、前重心に移る動きに沿って大車
理に適っているように見える。上半身を前のめりに出してきた相手の両手を制して仕掛けている。
6.送足払を燕返
受けが足払いを躱されて、重心が宙に泳いだところ、さらに受けの重心が崩れる方向に燕返
受けが足払い仕掛けたところ、取りは仕掛けられた足の膝から下を後ろ側に折りこれを躱す。仕掛けを躱されて重心が宙を泳いだところを加速させるように燕返。
膝から下を分離して動かし、自身の軸はぶらさずにいられるかがポイントか。
7.小内刈を膝車
受けが小内刈りをしようと右足を浮かせて取りを引きつける動きを貰って、膝車。
受けが取りの左足を引き出し、左足を後ろに素早く引いて右足で小内刈を仕掛けるところ、引かれる動きのまま前に進み膝車。
8.大内刈を巴投
受けが大内刈りに来たところを、刈られる左足をかわしたなりに相手の前に体を落として巴投げ。
受けが取りを引く動きから、左足を取りの方向に踏み込んでから大内刈に入ろうとしたところ、大内刈で弾かれた勢いで左足をかわし、その勢いのまま受けと向き合う形に回り込みつつ、身体を沈めて巴投。
ここで受けが仕掛ける大内刈はいわゆるケンケン内股に近い形の大内刈に見える。
取りが180度回るのではなく受けが90度、取りが90度ずつ回ることで向き合っているので、意外と自然に入れるのかもしれない。
9.支釣込足を隅落
受けは、取りの踏み出さんとする足を右足裏でしゃくりあげようとするが、取りはそれを感じ取り、それに合わせて隅落。
受けは左に開きながら、左足で取りの右足首をしゃくりあげようとするため、取りの隅落としで重心を右後隅に一気に崩され、右足の着地点を失って投げられる。
受けは右足を右後ろに引きながら引き手で取りを前隅に引き出そうとする、取りは引き出される重心移動で左斜め前に進み、隅落。
これは入る動きがそのまま技の動きになっている。
三船十段の残した『押さば回れ引かば斜めに』をそのまま体現したような形ですね。
10.内股を体落
受けが内またに入り右足を跳ねあげたと同時に、取りは体落としに入る。
体落としに入る動きと内またを避ける動きが同時になる。
投げの形で見る内股。受けが時計回りに取りを引き回し、内股に入り右足を跳ね上げる。この足を躱す動きで左の体落。
映像で見る限り内股透かしで相手がほぼ投げられている。体落といいつつ、左足が畳に着く前に相手が宙を舞っていることからも透かしの効果が見て取れる。
11.跳腰を刈返
受けが跳腰に入るのを察知してこれを耐え、後ろから相手を抱え上げつつ相手の足を刈リ返して落とす。
受けが跳腰に入る際に重心を低くする動きに合わせて沈み、逆に受けが落下に耐えようと反応したところ、その反発を利用して後ろから受けを抱え上げつつ受けの足を後ろから刈って落とす。
12.払腰を後腰
払腰を腰を落として防ぎ、そのまま抱え上げて真下に投げ落とす。
これも燕返と同様、返し技の名前が後腰。
受けが払腰に入る際に重心を低くする動きに合わせて沈み、逆に受けが落下に耐えようと反応したところ、その反発を利用して後ろから受けを抱え上げて後腰。
13.半腰を移腰
半腰を腰を落として防ぎ、そのまま抱えあげて左下に投げ落とす。これも返し技の名前のようだ。
受けが半腰に入る際に重心を低くする動きに合わせて沈み、逆に受けが落下に耐えようと反応したところ、その反発を利用して横ろから受けを抱え上げて移腰。
※半腰は講道館の技名にありませんが、浅く入る浮腰です
11,12,13の腰技への対応はどれも、受けが腰技に入ろうと身を沈める動きに合わせて沈み、受けの上方向への反発を起こさせている。
京都の出島さんに教わった反発を利用する技術を知ったおかげで見えるようになっている。
14.浮腰を横分れ
受けの浮腰に逆らわずに受けの前に回り込みつつ身を捨てての横分かれ。
受けの浮腰で横に振られる動きに合わせて回り込みつつ、身を捨てて横分。
15.大腰を一本背負
受けが大腰に入るため、手を差し込もうとしたところ、それを感じ取り差し込まれた手を一本背負い。
受けが右手を差し込み大腰に入る動きに合わせて、前に進み受けを後ろへ追い込む。追い込まれた受けた耐えようと踏みとどまったところ、その反発を利用して一本背負投。
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