これも身体つながりで、いわゆる「気」についてちょっと触れてみます。

■「気」
聞いたことがある人が多いと思いますが、私もテレビなどで紹介されて、名前だけは知っていました。「気功」とも言われることもあるようです。
槍で喉を突いても槍の方が折れてしまうような硬気功といわれるものや、手をくるくる回すと目の前の人が動き出すような良くわからないものなど。他にも治療に用いられることもあり、町を見渡すと「気功治療」という看板を掲げている治療院もあります。

私も治療に使われる「気」には、何度か触れたことがあります。
初めは中学生の頃、母が気功の治療が出来るという人を紹介してきてくれて、一緒に治療を受けました。
あんまり覚えていませんが、立っている状態で後ろから気を送ってもらうと、ふらーっと動くみたいな治療でした。
正直よくわかりませんでしたが、なんとなく調子は良くなっていたようです。

それっきり「気」には縁なく過ごしてきましたが、武術の稽古を始めるようになって、周りの縁のある方から話を聞いたり、体験させてもらったりするようになりました。

それがここ一年、あることをきっかけに私も治療する側のやり方を聞いてやるようになったので、今回はその体験を書いてみようというわけです。

何しろ何にも知らないので武術稽古以上に勝手な事を書きます。話半分でも多すぎるくらいですのでそのつもりでご覧頂ければと思います。
ご意見などコメントいただければありがたいです。

■体験
以前書いた日記で触れましたが、強烈だったのは甲野先生の獣医師向け講座の打ち上げで受けた「気」の治療でした。
形としては手を握ってもらうだけですが、受けた感覚は皮膚の周りを徐々にダウンジャケットで覆われていくようでした。
ぼわーっと何かに包まれる感じです。頭も包まれるので耳鳴りのような感覚もありました。
その感覚が頭から背中、腰のほうに降りていきます。
驚いたのは治療を受けている途中で目の前がパーッと明るくなったこと。
打ち上げの場所は居酒屋だったのですが、並べられている料理や机が急に明るく見えるようになったのです。電気がついたとか、照明を明るくした感じではなく、受け取れる光の量が増えた感覚でした。
そして、私がその事を報告するよりも早く「いま明るくなったでしょ。目が変わった。」と治療をしている先生に言われたのです。

この体験に驚いて興奮している私に、隣に座っていた別の先生が「ここにいる人は多かれ少なかれみんなこんな感じだよ。」と言いながら私の手をとりました。その私の手のひらに対して、その先生が手のひらを上下で挟むようにかざすと何やらさーっと流れるように感じるものがあります。先生の手のひらの間を弱い風が吹いている感じです。手の位置をずらすと風を感じる位置もずれました。
そしてこのような治療を触れないどころか、電話を通じて行ったり、写真に触れて行ったりするというのです。いわゆる遠隔治療というものです。

これ以前にも稽古仲間の方に「気」について少し体験させてもらっていたりはしていましたが、そのときは好奇心レベル以上の興味はなく、ましてや自分も出来るようになりたいなどとは思いませんでした。

■教わる
自分も治療的なことが出来ないだろうかと思っていた時期に上記のような体験をしたことで、その思いは強まりました。
それからあらためて甲野先生や稽古仲間で治療をされている方に「気」や「手当て」について質問するようになりました。
普段「気」には慎重に発言されている甲野先生からも「手当て」についてのお話を伺ったり、強力な治療師の元で学ばれているI女史からまた別のやり方を聞いたりして、自分でもやるようになりました。
やり方は、私が書いて誤って伝わってはいけないので書かないでおきます(後者のほうはネットでも紹介されています)。

■感想
実際やってみました。
感想としては、「良くわからない」というのが正直なところです。
ただ、効果は出ているようです。
自分に対してはほとんどやりませんが、仕事中に頭痛がひどくなったので、I女史に教わった方法を試すとその場でおさまりました。
娘には、寝かしつけで効果が出ています。たいていの場合、始めて5分以内で眠りにつきます。ただこれは「じっとして目を閉じていてね。」と言って始めるので自然と寝ているだけかも知れませんが、「寝なさい。」と言うのとでは全然違います。
最近は「パパやってー」と言ってくるようになりました。受けていて気持ちが良いようです。

■不思議なこと
こちらは娘が体調を崩したときに甲野先生に教わったやり方をしていたのですが、頭が痛いという娘の頭のどの部分が痛いのか、何となく感じたのです。
感覚としては(ふと思った)(そんな気がした)という程度です。娘に聞いてみると同じ場所が痛いと言います。
次の日娘は目を覚ますなり「全部なおったー!!」と起きあがりました。
実際には本調子ではなかったようですが、ずいぶん楽になったようです。
ほとんど娘にしかやっていないのですが、どのあたりがどんな感じで調子が悪いのかがやはり何となくですが感じることがあるのです。

こんなこともありました。妻が体調を崩したので娘にしているのと同じようにしていたところ、左の瞼にゴミが入ったような感覚があって(実際には入っていない)どうにも気になるので「左目」と妻に言ったところ「どちらかと言うと痛いのは右。」と返ってきました。
しかし次の日、妻の左瞼が腫れて眼科に行くことになりました。
以前、恵比寿の稽古で私が道場に入るなり「膝痛めてる?」と聞いてきた方条さんの件もそうだが、どうも人にはそのような感覚もあるようです。
10kg減量の報告を甲野先生にしたときの「必要ならそうなって当然。」という話はここにも通じているように思えてきます。私は必要性を感じて、「手当て」の話を聞き、実践したところこのような事象を体験した。
「不思議なこと」の話は甲野先生に報告していないが、減量報告の時と同様に「必要ならそうなって当然。」と言われるかもしれない。

■何なのか
ここまで書いた内容を読み返してみると、読みようによっては私が触れただけで相手の悪いところを言い当て、かつ治療までしてしまう能力があるかのようにも思えるかも知れない。
しかし、それは誤解というか勘違いの元のような気がしている。
起きた事象を否定するつもりはないが、病気は私が治したのではないし、悪い場所が当たったのもたまたまとも言えるし、次も当ててみろと言われても困る。
ただ唐辛子を食べれば辛いと感じるように、触れたらなにかしら感じるかも知れない。ほとんど辛くなければ気づかないかも知れない。
そんな感覚なので自分で積極的に何かをしているのではない。
このような療法に詳しい方も周りの稽古人にいるけれど、共通するのは積極的に関与しない点だろうか。
ここがとても重要な気がするのだが、その根拠は自分でもよくわからない。


■この先
いったい私はどこへ向かっているのか(笑)
自分がこれから治療家になるとは思えないが、きちんと勉強したいという思いが強まってきている。
このような話を複数の稽古仲間にお話しするなどしていたら、実家に帰ったときに母から『西式強健術と触手療法』なる本を渡された。
西式と言えば私の母方の祖父が熱心に取り組んでいた健康法である。実際この本も昭和48年初版発行とあり、母もずいぶん古い本を大事に持っていたものである。
私も小さいころ祖父や母からいくつか健康法や傷への対処法を習ったが、これらも西式健康法で教えられているものであった。
傷への対処法はうちの娘(4才)にも伝えてあるのでこれで4代目になる(笑)
『触手療法』の章にいわゆる「手当て」についての記載もある。まずは縁のあったこの本を読んで基礎知識をつけておこうと考えた。

■『西式強健術と触手療法』読了
読んだ。
そうとは知らずにだが、小さいころから一部を実践してきただけあってご縁を感じる。説明も分かりやすく内容に引き込まれる。
療法の章では『気』という言葉は用いておらず、『触手療法』と説明されていて、文面を追うと『酵気』とも書かれている。
この本を読む限り遠隔治療はなさそうである。いわゆる『気』と西式の『触手療法』は考え方が異なるもののようだ。
しかし、甲野先生がどういうおつもりだったのか知らないが、先生に教えていただいた『手当て』の能力を高める方法に完全に『西式』と被る部分があった。
読んでいたら甲野先生に教わった方法が出てきたものだからまったく驚かされてしまった。
まるで私がこの情報にたどり着くと予言されていたかのような感覚を覚えた。
祖父が西式健康法をやっていたという話は、甲野先生にも以前したような気もするが、当の私がはっきり覚えていない。
一度読んだだけでは、わからない。
もう少し勉強してみます。


関係ないですが、中学校くらいまで「ひょっとしたら、、、」と思っていた「かめはめ波」はたぶんこの先も出せないと思います。




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