全ての道は『空気投げ』に通ず

この夏の練習テーマを『背負い投げ』にしてから新しい感覚が出てきた。
大きなきっかけになったのは、内村直也先生の背負い投げDVDをみたことだ。
内村先生はDVDの冒頭で、背負い投げは手技に分類されるが捨て身技の感覚で投げている旨の発言をされている。
この一言を聞いて、背負い投げで目指すべき感覚が浮かび上がってきた。

「そうか、ロックして落っこちればいいのか。」

こう思えるようになったのだ。
動きの中で技を出せる感覚が強くなってきた。
何をすべきか、背負い投げの手順を投げるところから、
逆に追うと全ての手順において目的が明確になってくる。
・相手を小さな力で投げるため落下の力を使う
・相手と一緒に落ちるためにロックする
・相手の上腕部をロックするために体を回転させる
・回転するスペースを空けるために相手を引き出す

大きな手順の目的がわかるとそこに繋がる細かい動作の目的もはっきりする。
・大きく引き出すために小指を上げる
・大きく引き出すために後ろ回り捌きで回転する
・回転で加速するため、手足を中心に集める
・強くロックするため上腕から脇下に肘を差し込む
・強くロックするため差し込んだら脇を搾る
・大きく落下させるため、頭を先に下げない
・大きく落下させるため、正座に近い落下姿勢をとる
・相手と回転するため、片側の足は小指側の甲を着ける

さらに続く。細かい動作を変える目的で取り組むと動きの質が変わる。
・引き出す時の気配を無くすため『屏風座り』で腰を落とす
・大きく相手を動かすため『謙譲の美徳』で相手を動かす
・回転の滞りを無くすため『円月抜き』で回る
・ギリギリまで落下を継続させるため『浮木之腿』で接地する

まだ続く。動きの質を変えるには身体を変えなければならない。
・股関節から全身を連動させて動くための『股割り』トレーニング
・深く腰を落とした状態でも動けるための『腰割り』トレーニング
・安定した接地をキープするための『趾(あしゆび)』トレーニング
・骨の位置を把握するための『深部感覚』トレーニング

もちろん柔道の練習メニューの目的も明確になってくる。
・相手を引き付ける力をつけるための『絞り』トレーニング
・背中を連動して使うための『すり上げ式腕立て』トレーニング
・背中を連動して使うための『鰐歩き』トレーニング
・しゃがむ力をつけるための『スクワット』トレーニング
・等々

全ては背負い投げに繋がっている。

しかし私の場合は、背負い投げの研究は空気投げ研究の一環として取り組んでいるから、こうも言えるのだ。

「全ての道は空気投げに通ず」



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