雀鷹舎稽古)三船十段が提唱する球の原理「押さば回れ、引かば斜めに」を考えてみました。

画像は講道館の殿堂 > 三船久蔵のページより引用
(http://kodokanjudoinstitute.org/doctrine/palace/kyuzo-mifune/)

三船十段の残した言葉『押さば回れ引かば斜めに』がどのような動きだったのか、少し近付けた気がした稽古でした。


■押さば回れ
三船十段は『押さば引け』を『押さば回れ』に言い換えた。

変えたということは必ず理由があるし、単に押されたら回って避けると良いだけの話であるはずがないと考えたほうが得るものがあるはず。

押さば回れを紐解くヒントは『五の形』3本目。
『五の形』3本目は両者飛行機の翼のように両手を横に広げて向かい合い、お互い左手を上に右手が下に重なるように触れる。ここから半時計回りに回って相手を崩し、横捨て身技で投げる形。
これまでにもこの形をじっくりやっていたが今まで『押さば回れ』の感覚は生まれなかった。

この感覚が生まれたのは先日Iさんに教わって体の差し替えの感覚がひらけたことが大きい。数年同じことを言われ続けていたがやっと動きが変わった。
これは自分の動きを自分で邪魔をしないようにという感覚だが、その後相手の動きを受けて自分が動いた時にもその動きを自分で邪魔しないようにという感覚が持てたら何か面白いことが起きそうだと考えていた。

この日はまさにその発想で相手が何かしてきた際にその動きをもらって動くというもの。
柔道的に組んで釣り手で左胸を押されたら左半身を後ろに退くことになるが、胸だけを退いくと腰が居つくので腰も同時に退くことになる。同様に左半身だけ退くと右半身が居つくので両方退きたくなるがそれは「押さば引け」であり「押さば回れ」にならない。
そこで体差し替えの感覚で左半身を退く動きで右半身が前に出るようにすると右前で体を開くような動きになる。ここに押された動きを貰って左股関節を畳むように沈むと前後の開きに上下の動きが加わりくるっと回る動きになる。主宰の岡田さんとお互いにやってみると崩れ方が今までと違う。
『五の形』の3本目が連想される動きということであらためて3本目をやってみるとこの形も『押さば回れ』のであると実感出来た。
ちなみに『五の形』5本目は3本目に近いが相手に触れることなる投げる形であり、三船十段が理想に描いた触れずに投げる形でもある。
この形が「押さば回れ」の感覚で出来るとしたらこれほど面白いことはない。また検証を続けたい。

■引かば斜めに
「引かば斜めに」は相手に引かれた際に引かれた方向にそのまま進むのではなく、引かれた動きをもらって少し斜めの方向に進むと相手はバランスを崩す。
この働きを確認するには斜めに進み続けてみると相手がどんどんバランスを崩すのがわかるが、攻防の中では距離がありすぎて難しい。そこで2年間にやったふわふわ受けから相手にこちらの動きの続きをやってもらう動きを思い出した。
これを「引かば斜めに」の最後で使えば良い。ふわふわと上に飛ぶ必要はなく相手に引かれた動きをもらって進んで無理のない範囲で足がついたところから施すと相手が大きく崩れる。
ちなみに崩す方向は結果として先日やった空手の十手の形からヒントをもらった自分と相手に取っ手の真横方向になり、相手は足の外側のエッジに重心がかかり足を出して踏ん張りにくい状態になる。

 

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