松聲館の今を稽古する「浮きに浮きを重ねる」

甲野先生の恵比寿稽古会。

冒頭、甲野先生から参加者の皆さまに紹介されて、希望者に威力の上がった謙譲の美徳を受けてもらう。
比較のために前のバージョンも受けてもらうが、前のバージョンも威力が無かったわけではないのて横から押して数メートル先の壁までいってしまう方もいて加減するのに気を使った。
思ったよりも腰を低く落として構えてもらった方が安全。

甲野先生は撮影でもやった浮きに浮きに重ねる浮きで参加者の皆さんを驚かせていた。
あらためて受けてみても気配がなく早くて威力もある。
先日わたしと研究稽古をしたNさんも受けていたが自護体以上に腰を落として組み合ったところから先生が押すと腰が低い体勢のまま押し込まれていて、腰の高さは関係ない崩しがかかっていることが確認できた。

國井善弥師範がやられていた鹿島の組太刀、相心組太刀の五本から組分倒打。
まず、相心組太刀に共通する左右の斬りの体裁きがしっくりくるかどうかが大きなポイントという。これは練習して掴むしかないだろう。組分倒打の最後は不動剣と同じ動きで、鍔競りから相手を倒す形になっている。
あらためて受けた感触を頼りに体術で練習してみるとこれが新たな発見に繋がった。
手刀を合わせた形で鍔競りのように前に圧力をかける。この圧力が高まるのを感じつつ上に力が逃げるように腕を巻きながら近づくと相手が後ろにのけ反るように崩れる。そのまま斬り潰せば下に崩れる。ここでどうやら重要なのは真っ直ぐ入っていくところ、これがずれると崩しにならなかった。

さらにこの感触を頼りに柔道組みでも試してみるとこれも効果あり。
相手に近づいて圧力を感じたらその圧力が上に逃げるように主に釣り手を働かせると相手が大きく崩れる。

浪之下の形でも一度相手に寄って圧力をかけてその圧力が上に逃げるようにすると相手がその動きに同調する。これが確認できたあとで掴まれた腕には力を入れずにしゃがむようにすると相手が一緒についてくる。重たくて持ちきれないという感触ではなく、同調して一緒にしゃがんでしまうところが面白い。

柔道の組み手から、釣り手で相手を引き回し寄せる動作の途中で、相手が同調して動いたのをみてさらに引き付けて大内刈に入る仕掛けは上手くいった。
この手順でうまくいくなら、と両袖を持って空気投げで確認するとこれも以前よりもスムーズに入れて、相手がより投げられやすく崩れるようになった。
るようになった。
この入りと崩しを使うと合気道の天地投げの形でも大きく崩せることがわかった。これも応用の幅が広そうだ。

木刀の素振りが速くなった感覚があり振ってみるとやはり速い。
胸椎の上から何番目かを背中側に突き出すような感覚で剣を振る。振る過程で邪魔に感じる腰は後ろに引いて避ける。
投げを意識した素振りで、剣の水平移動距離がなるべく少なくなるように振る。相手が人なら水平に動かすには相当なエネルギーが必要でひっくり返すという柔道における投げの目的からみると効率が悪いように思える。

この投げと素振り、それから手裏剣の打剣を一致させるのは今年の目標でもある。



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