甲野善紀『剣術講座』

甲野先生の剣術講習会。 
こちらは公開されていないセミナーで、甲野先生の講座のなかでも全国でも唯一といってよい剣術に特化した大変貴重なセミナー。 


今回は甲野先生の最新の気づきが『屏風座り』だったこともあって、剣術講座だけど「抜刀」の説明などは無し。 
居合刀を持ち込んでいた参加者たちは肩透かしをくらった部分もあったかも知れない。 

しかし、内容は濃い。 
対ナイフでのつい笑ってしまうほどの画期的な対処法(場面を選びますが)も紹介されたし、特に手を使わないという事がいやでもわかる、重い木刀を逆さに持って柄が剣先になる状態での「影抜き」は、目の前で見た見た目と動きの違和感が凄かった(笑) 

甲野先生「師匠が師匠でいることの意義は、信じ難いような動きが実際に存在することを見せるところにある。」 
甲野先生「だから、出来ると思えば出来るんです。出来ると思えばいいんですよ(笑)」 

そういう甲野先生には師匠がいない。どうやって出来ると思えるのか。 
話が飛躍しているかも知れないが、甲野先生が異分野の人たちと交流するのは、どこか師匠を求めるような感覚もあるのかも知れない。 

「出来ると思えば出来る」と言われる動きを他にも見せていただいた。 
■小手返し 
土台ごとひっくり返すように相手を崩す。 
相手の動きに逆らわず、上下・左右・螺旋の動きで相手を巻き込む。 


■屏風座りのかわし 
■体当たり 
表裏の関係。 


今回は(も?)だいぶ周りで勝手に稽古していたように思う。 
それなら半身動作研究会でやれば良いではないかと思うかも知れないが、甲野先生が横で動いているのとそうでないのとでは稽古環境としては大きく違うのだから面白い。 

■太刀奪り 
S原さんの動きが以前と比べて段違いに良くなっていた。 
方条さん考案の「両足揃えの太刀奪り」稽古の効果が出ているのか。 
私もやってみるが、動きの制限を厳密に守ろうとするほど、身体の動きが引き出される。方条さんは以前からこの系統の(難しい局面をどう打開するかで新たな動きを引き出す)稽古法を考えるのが得意で、その点は甲野先生のやり方を強く受け継いでいる。 
私もまだまだ改善していかないと、とてもとても速く動けているとは思えない。 


■切っ先3寸 
腕を動かしすぎるという指摘をU田氏からいただく。 
切っ先がチョンチョンと動いたとき、その動きが身体にまでどう伝わっているか。 
剣先が動き続ける。 


■槍? 
先日水天宮で気づいた剣の使い方は、鍔競りから相手を崩すのにも有効であることがわかった。 
それをH君にやったところ、「これは槍だ」という反応。槍だと思って対処されると確かに崩れない。 
よくわからないが、そういう事らしい。 
方条さんからは右肩の力みを一発で指摘される。さすが。 


■屏風座り 
方条さんが色々と考えている。 
また無茶なことをと思ったのが、片足での屏風座り。 
無理だから!と思ったが、やってみると意外とそうでもない。 
ただ、立ち上がるとき筋力に頼ってしまう自分が納得できないのと、両足版で発揮する押されても耐えられる効果がなくなってしまう。また右よりも左が難しいのは股関節の可動域が関係している証拠。 
それにしても片足のスクワットだって大変なのに『屏風座り』をやろうと思いつくとは! 


■正面の斬り@秘伝 
身体が変わったのだろうか、以前丁寧に座る事で技以前の効果が出る事を発見して、中島先生に「それは秘伝にしても良いでしょう」と言われたが最近この効果が大きくなっているように感じる。 
正面の斬りを行う際、適当に座った場合と立つ姿勢を整えてそこから崩れないように丁寧に座った場合とでは段違いどころではない差が生じる。 
横で見ていたU田氏から、「和服を着崩れ無いように動くと筒の中で動くような動きになる。今やっているような効果が自然と引き出されるので、着物をきましょう!」という、最後は呉服屋の若旦那らしい宣伝の落ちまでついたアドバイスをいただく。 
姿勢が持つ力は思っているよりも大きい。 


■正座から立つ@宴会芸化 
恵比寿の板張りの道場+着替えた後のスーツ姿で成功した。 
後はやる前の準備時間を減らせれば、居酒屋でひょいと披露できるようになる。腕相撲は協力者が必要だが、これは 
1人で出来る。 
宴会芸が形になる日も近いww 


■帰り道 
帰路、先生が話してくれた「ピダハン」。Twitterでも呟かれていたのをみて、すぐにAmazonで注文したのだけれどこれは面白そう。 
我々が持つ常識を覆すような生活をしている民族が実在する。 
先生の技を受けた時のような、「ああ、こんな世界があったのか。」という刺激が期待出来そうだ。 

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