足技、空気投げ、柔道技を理解する。

かつて講道館の足と言われた柔道の足技。強力な反面、習得が難しいと言われているが、その原因の1つは技名と仕組みの整理がしにくい点にありそうだ。指導者が整理して教えないと、同じ技なのに違うやり方が存在するように思えて教わる方が混乱しやすい。

例えば小内刈、小外刈の違いはいいとして、押し込む小内刈、引き出す小内刈の違い。引き出す小外刈と出足払の違い。支釣込足と膝車、足車の違い。大外刈、大外落、大外掛(正式名ではない)、大外車の違い。これらの整理が出来ていると足技の説明が変わってくるはずだ。

足技は払う、刈る、掛けるに大きく分類できる。その上で相手の足の外か内かの違い、自分の足の向きが内か外かの違いがある。これで小内、大内、小外、大外が整理できる。ここに膝車など車系の技を加えると大半が整理できる。

足技の理解を助ける目的で技を分類する場合、試合の判定による分類ではなく、仕組みの違いによる分類を意識したほうがいい。例えば小内払、小外払という技はないが仕組みとしては前に出てくる相手の足をその爪先方向に、こちらの足裏で畳と平行になるように引き出して尻餅をつかせる技と理解する。

小内刈、小外刈は相手を押し込んでその踵にこちらの足裏を当てて後ずさりして踵に障害物が当たって倒れる仕組みの技として理解する。こう理解すると前に進もうとして障害物に当たって倒れる仕組みの技として支釣込足の理解も進む。同じ仕組みを使う技として足をあてる位置が違う膝車の理解も進む。

車と名前がつく技には共通の仕組みがある。膝車を理解する際に、相手が縦方向の棒になるように上向きの力を加えながらその棒を上半身を使って捻り、こちらの体の一部を引っ掛けて倒す技だと理解する。すると足車、大車、大外車、車の名がつかない内股や腰技の腰車の理解も一気に進む。

払う、刈る、掛ける、車技の違いを意識して練習するだけで初心者の混乱はかなり減る。今でも活躍中の柔道家石井慧さんが足技は大人になってからの習得が難しいと言っていて私も実感中だが、この分類法は大人の初心者にとっても理解の助けになるのではと感じている。

さて足技の整理が進んだところで空気投げである。空気投げは足も腰も相手に触れず捨て身技でもないので手技である。実際、浮落や隅落は手技に分類されているが、足技だけでなく、他の全ての技を理解する際に空気投げが大いに役に立つ。

空気投げを幻の技として崇めるのではなく、具体的に仕組みで理解する。空気投げの浮落、隅落を相手の重心位置を基底面の外に出し、基底面からはみ出た箇所を真下に引き落とす技と理解する。もちろんこれだけではないがこの一面を理解すると『何々落』と名のつく技の理解が一気に進む。

また空気投げを相手の重心移動を捉えて別方向から力を加えて崩し投げる技という一面から理解すると全ての技を見直すことが出来る。このように空気投げは形がシンプルなので全ての技に共通して応用できる要素が多く、空気投げの理解は技全体の理解を助けると言っても過言ではない。

つまり何が言いたいかというと、みんな空気投げしましょう!ってことです。



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