Nさんとの研究稽古 ふわりと躱す三船十段の妙技に迫る

頻度が上がっているNさんとの研究稽古で思わぬ発見があった。

先日のつくばで斬手による組み手が相手にエネルギーを伝えるのに有効ということで確認してみると気配がなく組んでいられる上に丈夫。重心操作の投げと合わせて釣込み腰をやってみるとこれが軽い。

Nさんがこれは防御にも使えるはずというので試してみたところ、有効どころか思わぬ状態になることが確認出来た。背負投に対してふわりと躱す三船十段の身のこなしを思い起こす状態が再現出来た。通常背負投を仕掛けられた場合、引き手を引き上げられてまず腕がロックされるそこに体捌きで落とされるか、巻き込まれるかして投げられるわけだが、この組手で受けると引き手をひかれて体がもっていかれる際に引き手だけではなく、全身がバランスを保ったまま持っていかれるので、社交ダンスでまわっているような丈夫な姿勢を保ったまま回る状況になり、映像でみる三船十段の受けと極めて似た状況になったように感じた。

Nさんにもやってもらって私が仕掛ける側でも確認したがとにかく投げにくい。1本背負投を仕掛けてみても引き手を持ってくると相手の体がスライドして私の背中を滑ってしまうのだ。

これは五の形3本目で必要になる体の状態と同じで斬り手にしたときの背中の働きによる効果。柔道練習で確認しておきたい。


重心移動による受け身を応用した投げ。やはり投げの感触が軽い。全ての技に活用できる技法で今後この技法を手放すことはなさそうだ。背負投でお互いに試してみると背中に触れないまま足裏が浮き始めて浮かされて飛ぶ。運動としては相手を背中の上を乗り越えるように投げるのではなく自分と相手の位置を入れ替えるように投げるようで省エネとも言える。


車技の理合いは非常に便利で強力。三船十段が開発した大車をこの理合いにしたがって仕掛けると入られたからはなかなか止めにくく、遠心力が働き始めてから完全に防ぐのは困難。Nさんが手車がすくい投げ系統ではなく車技であることから、あらためて車技の理合いへの理解が深まったという。そのNさんの手車はひょいと抱えた後で歩みを進めることで相手を持ち上げて投げる。軽く上げる肩車の接点が肩か手かの違いで理合いは同じだ。

となると肩車もちょいと引っ掛けて歩みを進めれば持ち上がる。これは面白い。車技への理解がまた少し進んだ。


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